巨人・高田萌生が「松坂大輔を卒業」。防御率27.00から逆襲する (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「高校時代は松坂さんが乗り移るくらいのイメージでやっていて、それが自分に合っていると思っていました。でもプロに入って、左足を上げるときに段をつくる投げ方に変えたんです。感覚的に『一本で立つ』という軸ができて、フォームのリズムやバランスがよくなりました。指のかかりも強くなってしっくりくるボールも増えてきたし、今の自分に合うのはこの形なのかなと思います」

 いわば、「松坂二世からの卒業」。高田は「自分に合ったオリジナルをつくらないといけませんから」とも語った。

 しかし、高田にとって松坂が憧れの存在であることには変わらない。おそらく高田ほど2018年の松坂の復活を喜んだ人間もいないだろう。高田に松坂の話を振ると、言葉が淀みなく流れ始めた。

「本当にうれしかったですよ。僕が憧れていた頃とはピッチングスタイルは違いますけど、ランナーが得点圏に進んでからの強さとか、勝負強いところは若いときのままでした。マウンドでの雰囲気に惹きつけられるものがありますし、仕草ひとつとってもかっこいい。あらためてすごい存在だなと思いました」

 松坂を敬愛するあまり、高田は大胆な行動にも出ていた。チームの大先輩である上原浩治を通じて松坂に連絡を取り、自主トレに参加したいと申し出たのだ。残念ながら多忙な松坂の都合が合わず、今オフの自主トレ参加は叶わなかったが、高田は「聞きたいことを聞かなきゃ損だと思うので」と来年以降の参加を熱望している。

 今季、チームは原辰徳監督が就任して1年目になる。原監督にとっては3期目とはいえ、新監督は自分の色を出すために起爆剤となる人材を起用したくなるもの。就任直後の201811月8日には、東京ドームで行なわれたMLB選抜とのエキシビジョンゲームで高田を先発投手に抜擢した。

 結果は3イニングを投げて7安打7失点。数字だけを見れば、2回6失点に終わった7月の中日戦と大差がないように見える。だが、高田は「内容は全然違う」と語る。

「三振を5つも取れましたし、自分の力は出せました。ただ相手がすごかっただけで」

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