ファーム二冠の6年目、巨人・和田恋には
岡本和真と違ったよさがある

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 オフにはともに自主トレを組み、汗を流す仲でもある。今オフも山本泰寛らとともに慶應義塾大での自主トレに励んだ。だから昨季の岡本の活躍は、和田にとってもうれしいことだった。

 とはいえ、手放しで喜べるはずもない。ただでさえ競争が激しい巨人にあって、同じタイプの後輩が先に結果を残したのだ。和田はこんな本音ものぞかせる。

「和真の活躍はいい刺激になりましたけど、『負けられない』という気持ちもありました。タイプは一緒だけど、僕は僕らしく和真と違ったよさを出していきたいです」

 岡本と違ったよさ。今となってはとてつもなく高いハードルに思える。昨季の岡本のように広角にホームランが打てて確実性も高く、打点も稼げれば、右のスラッガーとしては満点に近い。

 和田が自分の長所として挙げるのは「打点」と「右方向の打球」である。

「ファームでも打点にこだわってやっていました。いかにチャンスで打てるか、ランナーを還せるかを意識しています。あと右方向に打てることも、みんなができるわけではないので、長所として伸ばしていきたいです」

 プロ入り後、高いレベルに圧倒されながらも、「スイングスピードを上げよう」と地道に取り組んできた。5年という時間を費やし、スイングスピードが上がったことで、ボールを手元まで呼び込めるようになった。技術的な進化が昨季のファーム二冠王へとつながった。

 また、チーム内には同じく右方向に強い打球が打てる長野久義という偉大な先輩がおり、生きた見本として大いに参考にしていた。そんな長野は丸佳浩のFA移籍に伴う人的補償として広島に移籍した。

「長野さんにはグアムの自主トレに誘ってもらったり、お世話になったのですごく残念です。でも長野さんがいなくなっても、他にもいい選手がいっぱいいます。そのなかで勝ち抜いていかないと」

 プロ入り後、主にファーストやサードを主戦場にしてきた和田だが、昨季からレフトやライトの外野に本格的に挑戦している。守備力が売りになるようなレベルではないものの、「落ち着いて守れるようになった」と本人は手応えを深めている。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る