ドラ1猶予も今年までと覚悟。ロッテ平沢大河、正遊撃手へ猛アピール

  • 永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro
  • photo by Kyodo News

 春季キャンプまで残り10日を切ったある日のこと、プロ4年目を迎えた平沢大河(ロッテ)が現在の心境について、こう語っていた。

「どこにきっかけがあるかなんて、わからないですからね。これまで重ねてきた練習や経験のなかからチョイスできるものがあるのか。それともないのか。それを見つけるために毎日やっているようなものですから。日々の反復練習だってそうですよ」

 そう言って、平沢はグラブに目をやった。

昨シーズン、自己最多の112試合に出場したロッテ・平沢大河昨シーズン、自己最多の112試合に出場したロッテ・平沢大河 プロ入りしてから3年間、平沢はあらゆる壁にぶつかりながら、その答えを探そうと数え切れないほどバットを振り、ノックを受けてきた。そのなかでかすかに見えてきたものがある。

 昨シーズンの平沢は、打率.213、5本塁打、32打点と決して満足のいく数字ではなかったが、シーズンを通して一軍でプレーし、本職ではない外野も経験。その結果、自己最多となる112試合に出場した。疲労との戦いもあったが、それでも自らに課した練習は最後までやり遂げるなど、大きな自信を得た。

「シーズン終盤は体力的に結構きつかったんですけど、それでも練習量は抑えないようにと思っていたので、そこはできたかなって思います」

 慣れない外野の守備も無難にこなし、「今年も外野で......」というファンの声もちらほらと聞こえてくるが、本職のショートでレギュラー争いをできるだけの力を備えているのは間違いない

「(ショートを)やりたいなとは思っていますが、試合に出られるのならどこでもいい。しっかり準備したいと思っています」

 そう語る平沢だが、胸に秘める思いは当然ある。

 自主トレ期間中、連日、ロッテ浦和球場のグラウンドで、1ケース分のノックを内野で受けていた。その姿からは「ショートのポジションを奪ってやる」という決意が込められているようだった。

「第一印象が大きいと思うので......『今年は違うぞ』というのを見せられればいいなと思います」

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