広島の新人・林晃汰は練習の虫。一軍でホームラン1本の恩返しを誓う (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

 昨年12月10日にファン約600人を招いて行なわれた入団会見で、背番号44のユニフォーム姿を披露。44は昨季まで松山竜平がつけていた背番号で、球団の林に対する期待の大きさが伝わってくる。

 林は「広島から指名してもらうイメージはなかったんです」と語ったが、智弁和歌山と同じ赤を基調としたユニフォームは誰よりも馴染んでいた。本人も「Cのマークに赤。ちょっと(ヘルメットやビジターのユニフォームの配色が)逆になったくらいで、違和感なしです」と笑顔を見せた。

 その入団会見で目指す選手像を尋ねられた林は、「球場の雰囲気を変えられる選手になりたい」と答えた。

「あれはいいことを言ったと思います(笑)」と年末に自画自賛していたが、そこにたどり着くためにもまずはプロ1年目が大事となる。

「一軍でホームラン1本。それは絶対に打ちたいと思っています」

 その理由を聞くと、「中谷さんと約束したんです」と返ってきた。中谷は元プロ野球選手で、年末年始も林の練習相手を務め、プロ入りを前に心構えも説いた。そんな中谷への恩返しの一発というわけだ。そしてその先は......。

「同級生の選手が大学を出てプロに入ってくる5年目には、絶対にレギュラーを獲っているように。そこへたどり着くためにも必死でやらないと......。プロは人がどうこうじゃなく、自分が結果を出せるかどうかの世界。自分に勝っていくためにも練習するしかないです」

 これまで林は、同じ和歌山の出身で左のスラッガーである筒香嘉智(DeNA)をトップモデルに語られる声があったが、同時期のふたりを比較すれば、バッティングの精度、確率に大きな差があった。言い換えれば、林にはまだまだ伸びしろがあるということだ。プロの環境、指導のなかで、どう成長していくのか。

 6日の入寮の際は、高嶋が記した"努力は一生 栄光は一瞬"の色紙を持参した。雰囲気を変えられる選手となる日を目指し、野球漬けの毎日がここからさらに加速していく。

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