巨人・岡本和真に忍び寄る2年目のジンクス。克服のカギは左足にあり (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 もちろんシーズンが終了し、自主トレ、キャンプを無事にこなしていけば、気持ちの切り替えはできる。ただ、前年活躍した打者に対して、徹底的に内角を攻めてくるのがプロの常道である。昨年のシーズン開幕当初はまだマークも緩かっただろうが、今年はそういうわけにはいかない。シーズン頭から内角を攻められるのは間違いないだろう。執拗な内角攻めにフォームを崩し、持ち前の積極性もしぼむ不安もある。

 それだけにキャンプ、オープン戦で気持ちをリフレッシュしてバットを振り続けられるかどうか。そこもポイントになるだろう。

 今年でプロ5年目の岡本だが、実質的な活躍は昨シーズンのみ。先述したように、他球団の攻めは昨年と比べものにならないほど厳しいものになる。それが"2年目のジンクス"とされてしまう理由だが、決して打者も怠けているわけではない。他球団が研究するのと同様に、打者も同じく相手投手を研究し、自分の弱点を克服しようとする。「おそらくこういう攻め方をしてくるだろう」と予測し、その対処を念頭に、自主トレ、キャンプでのフォーム固めに時間を費やす。

 それでも活躍した翌シーズンに結果が出なくなってしまう打者には、あるパターンがある。一軍に出始めた頃は良くも悪くも周囲が見えず、ただ必死にバットを振り、それが好結果につながった。だが2年目になると、冷静さも身につき、周囲から何を求められるのかといった意識も芽生えてくる。

 すると、これまでのガムシャラさが消え、今度は"色気"が出てしまう。たとえば、昨年はボテボテで稼いだヒットを今年はきれいに打ち返したいと思ったり、ホームランも自分のイメージする角度でスタンドに運びたいと思うようになったりする。

 それは"向上心"とも受け取れるが、考えることが多くなるとガムシャラさを失い、本来のよさが影を潜めてしまうケースも多い。

 コーチとしてみれば、そんな落とし穴にはまってほしくない。試合前の練習であれ、ミーティングであれ、選手に考えすぎさせないように指導していく。ガムシャラさを失い、持ち味が消えるのがいちばん怖いからだ。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る