ヤクルト村上宗隆は1年目で風格。首脳陣も「4番しか考えられない」 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 このキャンプでは、彼なりに試行錯誤しながらやっています。長い目で見た場合、もっといいアプローチというか、打撃の考え方があるんじゃないかなと。本人や宮本ヘッド、宮出(隆自)コーチたちと話し合いながら探っているところです。そして、ただ打つだけじゃなく、人間としての考え方や行動、そういった部分もしっかり教えていければと思っています」

 午後4時、村上と宮本丈(たけし)を相手にした、宮本ヘッドの"特守"が始まった。ノックのピッチが速く、10分もすれば息が上がり始める。村上は「さぁ行こう、さぁ行こう」と声を出し、打球に向かっていく。宮本ヘッドが「(打球に)合わせすぎだよ。もっと前にこんかい」と言えば、村上は「意識の差は進歩の差! オッケー、オッケー」と叫ぶ。

「まだ行けるよ」(宮本)
「当たり前、まだまだ!」(村上)

 約25分の"第1弾"が終了。3分間の休憩後に"第2弾"が始まると、村上の声が次第に聞こえなくなる。そしてミスをした村上に、「もう一丁!」という宮本ヘッドの声が増えるのであった。

「へばったね。ここからよ、覚えるのは!」(宮本ヘッド)

 やがてノックは横にふられる打球となり、村上は捕球のたびに「うっ」とうめき声を上げる。両膝に手をあて頭を下げると、帽子のツバから汗が切れ目なく流れ落ちる。約1時間の"特守"が終わると、村上はグラウンドに大の字になり倒れこんだが、練習はまだ終わらない。少しの休憩をはさみ、今度はバットを振り込んだ。

 練習に明け暮れる村上に話を聞いた。

―― この1年を振り返って、2月には木製バットへの対応が課題と言っていました。

「高校時代とはピッチャーも違いますし、必死に食らいついたなかで結果を出せてよかったと思います。バットがどうこうではなく、相手のピッチャーに食らいつけたことがよかったと思います」

―― 一軍に昇格を果たした時、小川淳司監督は「消化試合での起用はしたくなかった」とおっしゃっていました。

「順位争いをしている、いい緊張感のなかで試合に出させてもらい、いい経験になりました。期待されていると思うので、あのような場面で活躍できるようにならないといけないと強く思いました」

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