ヤクルト村上宗隆は1年目で風格。首脳陣も「4番しか考えられない」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 昨年の8月、ヤクルトの二軍は福島・楢葉町(ならはまち)で公式戦を開催した。新人の村上宗隆が打撃練習をしている時だった。地元の球界関係者の男性が、連れてきていた球児たちに「ありゃースゲーなぁ。ひとりだけ打球が違う。スゲーよ」と興奮気味にしゃべっていた。11月の愛媛・松山キャンプでは、石井琢朗コーチも「見る人みんなが『あいつはすごい』と言ってくれます」とうれしそうに話していた。

昨シーズン、プロ初打席初本塁打を記録したヤクルトの村上宗隆昨シーズン、プロ初打席初本塁打を記録したヤクルトの村上宗隆 プロ入り後の村上を最初に見たのは、昨年の二軍での春季キャンプ(宮崎・西都市)だったが、まず体の大きさ(188センチ、97キロ)に驚いた。フリー打撃では、ケージから打球が出ないことも多かったが、ティー打撃などでの打球はほかの選手と明らかに音や飛距離 が違っていた。一方で、守備は高校時代の捕手からプロ入り後は三塁に転向。キャンプで村上は悪戦苦闘していた。

「木のバットへの対応が課題ですけど、振り込むことでよくなっていると思います。守備はゼロからのスタートなのでやることが多いです。基本である、捕ること、送球、ランナーの追い込み......しっかりと学んでゲームで生かせるようにしたい。まだ100のうち5ぐらいしかできていないと思います」

 オープン戦が始まると"顔見世的"な形で一軍デビューを果たすが、打席での雰囲気がすばらしく、ボールを最後まで見る姿には風格すら感じた。一軍のオープン戦デビューを飾った試合後、村上はこんなコメントを残した。

「一軍はすごいという感情しかわきませんでした。ボール球を打ってもヒットにはならないので、ストライクゾーンにきたら振ろうと思っていました。詰まりましたけどヒットになってよかった。自分にとっては自信になります。ここまでしっかり強く振ることを意識して、技術もそうですが、相手がどんな投手でも打ってやるという気持ちでやっています。キャンプでは守備の課題ができたので、まずはそこです」

 昨シーズン、プロ1年目の村上の成績はこうだ。

一軍 6試合/打率.083/1本塁打/2打点/出塁率.214
二軍 試合/打率.288/17本塁打/70打点/出塁率.389

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