輝星、幸太郎、佑樹...栗山英樹が考える「甲子園スター」の育て方 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

―― 清宮選手の1年目はどんなふうに評価していますか。

「まあまあ、思ったとおりかな。ただ、(右手親指のケガによる)キャンプの出遅れはともかく、3月に(限局性腹膜炎で)入院したのは想定外だったね。あれがなければもっと違う形の経験(開幕スタメン)をさせることができたかもしれないと思うし、入院してあれだけ長い間、野球ができないとなると開幕へ向けて作ってきた身体がゼロにリセットされちゃうからね。そこはもったいなかったなというのはあるかな」

―― あのときは手術という選択肢もあったと聞きました。

「それを思えば、去年、野球をやれてよかったなというふうにも考えられるんだよ。だから、CS(クライマックス・シリーズ)の最後も代打で使う手もあったんだけど(一発出たら同点という場面になるまで温存された結果、ネクストバッターズサークルで試合終了を見届けることになった)、でも悔しい思いをしながら自分自身で"取りにいく"というプロっぽいところも伝えたかったしね。ひとシーズンを通して、与える時期は過ぎたなと......だから、思ったよりは前へ進んだと思う。2年目は、さあ、行きますよ、という準備はできているよね」

―― 技術的な課題はどう考えていますか。

「そこは、ボール球を振らない形をつくるということに尽きる。今の構えは高めの、ホームランバッターが好きそうなところに手が出る形になっている。意識のなかから高めを消しちゃえば、低めもついていけるのに......だからオレのなかで答えはある。高めを振ない形にしなくちゃいけない。

 だって、そこを振る必要はないんだから。高めを打ったらホームランになりやすいと思ってるのかもしれないけど、ベルト付近の球でも十分、ホームランになるでしょ。だったら高めを意識することの方がマイナス面が大きくなる。ボール球を振ってしまうし、高めのボール球から低めのボール球まで振っていたら、プロのピッチャーを打ち崩すのはムリだよね」

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