輝星、幸太郎、佑樹...栗山英樹が考える「甲子園スター」の育て方 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

―― ということは、今年の開幕投手は?

「普通に考えたら、直(上沢直之)に開幕を託すのが、成長を促す意味では一番いいのかもしれないね」

―― ドラフトでは金足農の吉田輝星投手を1位指名して、獲得しました。

「いやぁ、来たね。最高だよ。彼、明らかにウチっぽい選手でしょ」

―― でも、1位入札は根尾昂選手でした。

「投打の両方を高いレベルでこなせる選手がいかにプロ野球に、そしてチームに大きなものをもたらすかということは我々が一番、知ってるからね。そこを考えると、根尾くんに行きたくなる。でもオレは、吉田君がウチのカラーかなと思っていたら、ドラフトの前日、山田(正雄、スカウト顧問)さんが珍しく『吉田輝星が気になる』って言い出して......最後はどちらに行くか、大激論になったんだ。根尾くんか、吉田くんか......ウチは吉田くんを1位で入札する可能性も十分、あったんだよ。実際、オレ、ドラフトの当日、出掛けてから一回、戻ってネクタイ、(金足農のチームカラーである紫に)変えたしね」

―― 吉田投手に期待するところというのはどのあたりですか。

「とにかく夏の甲子園で出していたあの感じを、そのまま活かしたい。だから時間をかけちゃいけないなと思ってるんだ。早めに早めにと言っているのは、時間を置くことによって、彼のよさが消えてしまうリスクがあるからなのね。あの年齢は身体が変化していくでしょ。投げられるなら1イニングでも2イニングでもいいから早めに使ったほうがいいんじゃないかと......あの甲子園での躍動感を忘れないようにね」

―― それは吉田投手には伝えたんですか。

「そこまではハッキリとは話していないけど、ドラフトの次の日に秋田へ行って、本人に手紙を書いて渡したよ。まだ入団も決まっていない段階だったのに、もう秋のキャンプは始まってるから、緊張感を持ってやってほしいって」

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