栗山英樹が驚いた大谷翔平の影響力。「抜けたからこそ勝ちたかった」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sportiva

── おっ、三国志ですか。

「三国時代、蜀と魏の戦いの最中、諸葛亮孔明が病死したんだけど、そのとき孔明は『オレが死んだら、生きてるように見せかけろ』という言葉を遺して死んでいくんだ。だから相手の武将、仲達はその好機に打って出ることができなかった。あのときの孔明と一緒で、人間というのは死んでもなお影響力を及ぼすくらいでないと何かを成し遂げたとは言えないという......翔平がいなくなったチームを見ていて、いなくなってもこれだけの影響力を与えられるのかと思ってビックリしたよ」

── ファイターズにいたのは5年、チームを出たときは23歳でした。

「すごいよね。だから翔平が抜けて、ウチのチームは翔平に頼り過ぎていたところがあったのかなとあらためて感じたね。本当に大事なゲーム、圧倒的な能力で相手を抑え込めるピッチャーがいるということの大きさ、エース級のピッチャーが来てもコイツなら打てるかもしれないというバッターがいることの大きさ。どちらも痛感させられた。だからこそ、翔平に頼らず、ほかの戦力をうまく積み上げて優勝させるというのがこっちの仕事だったんだけど、いざとなると......難しかったね」

── 投手陣では、まず目立ったのが上沢投手でした。

「直に関しては思った通りだったかな。前半、すごくよくて、後半はバテたけど、初めて1年間、ローテーションを守ると、どうしても疲れが出てくる。そのとき、どの程度まで我慢できるかというあたりが課題になるだけど、そこは案の定だった。となると前半、もうちょっと間をあけて起用したほうがよかったのかなという考え方も出てくるし、オレは(ローテーションを)飛ばすのはアリだと思っているんだけど、本人がローテーションを守ることにこだわっていたからね。そういう経験をさせたことで、将来の直にいいものを残したはずだという手応えはあったと思う」

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