栗山英樹が驚いた大谷翔平の影響力。「抜けたからこそ勝ちたかった」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sportiva

── 朝は何時に起きているんですか。

「7時かな。朝は何も食べないね。日本茶だけ。これが気持ちいいんだよ。雪の中で日本茶、温かいのを飲むのね。で、カブトムシの幼虫にいっぱい木くずをやって、あとはモミジやイチョウの種を撒いて、いつか森にできたらいいなって。100年後、誰かが喜んでくれたらいいなって考えてる」

── 本当に、浮世離れしてますね......なんだか現実の世界に引き戻してしまうようで恐縮ですが(笑)、ちょうど去年の今ごろを思い出していただくと、大谷翔平選手、抑えの増井浩俊投手、中継ぎのクリス・マーティン投手、キャプテンを務めた大野奨太選手が抜けて、下馬評も低く、厳しい戦いが予想されていました。監督自身はどんなイメージを持って、2018の開幕を迎えたのでしょう。

「そうだね......オレにとって2018年というのは、絶対に勝ちに行かなきゃいけないシーズンだったんだ。ダル(ダルビッシュ有)がいなくなったシーズン(2012年)、オレはファイターズの監督になって、優勝したでしょ。今年は(大谷)翔平がいなくなって、だからこそ、どうしても優勝しなければならなかった。チームの誰もが『翔平がいなくなったから勝てないというのはイヤだ』と口にしていたし、下馬評がどうあれ、こっちは戦力も揃っていると思っていた。だから、今年こそがファイターズらしさを示せるシーズンだと思って開幕を迎えたんだけどね」

── なるほど......でも実際、18年のリーグ3位という結果は大健闘だったという声が圧倒的です。

「そんなふうにはまったく思えないよ。監督がヘボいから勝てなかっただけ。みんな、頑張ったんだけどね。直(上沢直之)なんか、『監督、翔平がいなくなっても勝ちますからね』って何度も言ってくれてたし、(中田)翔も開幕前、『翔平がいなくなって、負けたと言われたくない。絶対に勝ちましょう』と、翔平の名前をみんなの前でハッキリ口に出して言ってたからね。これ、"死せる孔明、生ける仲達を走らす"みたいな、そんな感じだったんだよ」

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