ドラ2指名で「早い」と叫び。ホークスの153キロ右腕は考える原石だ (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

「基本はセット(ポジション)なんですけど、要注意のバッターだと思うと、ワインドアップも使います。バリエーションをつけていけば、相手を『あれっ!?』と思わせることができますし、バッターのタイミングも外せますから」

 都市対抗で見た杉山のピッチングは、まさに語っていた通りの投げっぷりで、打者のタイミングをガタガタに崩してみせた場面もあった。

 だからこそ、来年が勝負だと思った。やっと軌道に乗りかかってきて、あと1年、誰もが認めるエースとして結果を残す......そんなストーリーを勝手に描いていた。

 だが、サイズが大きくて、球が速くて、しかもまだまだ伸びしろもある。いかにも"プロ好み"、いや"ソフトバンク好み"の投手になってしまったからたまらない。

「来年なら1位じゃないと獲れないかも......」

 そんな見通しが、今年の2位指名になったのかもしれない。身体能力だけで150キロ投げる剛腕なら、そこまで期待はしない。しかし杉山は"考える原石"だから、アッと驚くようなタイミングで1年目からチャンスがあるかもしれない。

 ソフトバンクが"人材の宝庫"と呼ばれ、周囲の脅威となっていたのは過去の話。人材がいるようで、じつは心許ない。とくに投手陣は、活きのいい若手がなかなか出てこないのが実情だ。

 指名の瞬間、「時期尚早」と思ったが、意外とタイムリーな野球人生の転機なのかも......次第にそんな思いに変わってきている。

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