「左のライアン」がフォーム変更。
ヤクルトの次期エース候補が語る1年

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 二軍では17試合に登板して8勝6敗、防御率3.51。無失点のまま交代した試合は5試合あり、自身プロ最長となる8イニングを投げ切ったこともあった。

「二軍の試合で投げてきて、やっぱり6イニング目の入り方が難しかったりします。自分のなかで『今日はいけるな』という日があっても、6回につかまってしまうケースが多かったので......。そこを意識して投げ切れることもあったのですが、そういう試合をいかに増やせるかが課題です」

 今から2年前の夏、7月6日のことだった。この日は神宮球場で一軍と二軍がそれぞれ試合をする"親子ゲーム"の日だった。二軍の選手はデーゲームのあとにナイターでの一軍の試合を観戦。その時、球団関係者の粋な計らいで4人の若手選手に一軍の試合前練習を見学させたのだが、そのなかに高橋の姿もあった。当時、高橋はこんなコメントを残していた。

「一軍の練習は二軍とは雰囲気が違いました。小さい頃から見てきたプロ野球選手が同じチームにいて、すごいなと思いました(笑)。プロの試合を観戦するのは中学以来でこれが2回目です。僕は高校野球(龍谷大平安高)で甲子園を経験しているんですけど、また違う雰囲気でした。ヤジも飛ぶし、乱闘もありましたので......(笑)。『早く神宮球場で投げたい』と思いました」

 翌年の8月には、二軍の神宮球場開催試合に先発。高津臣吾二軍監督から「神宮で投げるのがそんなにうれしいか」と聞かれ、高橋は照れくさそうな表情を浮かべていた。

 そして今年の9月5日、ついに一軍の試合で高橋は神宮の先発マウンドに立った。結果は5回を投げ5失点(自責点4)に終わったが、とくに初回は140キロ台後半のストレートを連発(MAX149キロ)。ニューフェイスの登場にファンは沸いた。

 試合後、クラブハウスに引き上げる高橋は「今はまだ頭のなかで整理できてないですけど、四球とピッチャーにヒットを打たれたことが反省です」とコメントしたが、表情はじつに晴れやかだった。

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