セ新人王獲得の東克樹。あの日の巨人戦を振り返り「来季につながる」 (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

――それでもシーズン中盤からは、他の投手が苦しむ中でエース的な役割を期待されるようになったと思います。アレックス・ラミレス監督からかけられる言葉にも変化がありましたか?

「開幕当初はシンプルに『ベストを尽くせ』と声をかけてもらい、中盤からは『試合を作れることはすでに評価している。あとは腕を振るだけ』と言われるようになりました」

――シーズンでの11勝のうち、5勝が巨人戦で挙げたものですが、どこかに要因があるのでしょうか?

「それは何かの巡り合わせにすぎないと思います。『子供の頃に巨人ファンだったから、特別な意識があるのか』といったことを何度も聞かれましたが、まったく関係ありません。たまたま結果がよかっただけだと思っています」

――新人王を受賞した際の会見では、もっとも印象に残った試合について、巨人戦で唯一勝ち星がつかなかった9月28日の試合(@東京ドーム)を挙げていました。あらためて、球界を代表するエース・菅野智之投手との投げ合いを振り返っていかがですか?

「あの時はCS進出争いをしていたので、菅野さんと投げ合うことよりもチームの順位にこだわっていました。負けられない一戦を7回で降板(無失点)してしまったことは悔しかったです(菅野は9回無失点で勝ち投手に)。それでも、緊迫する試合で粘り強く投げられた経験は、必ず来季のピッチングにつながると思います」

――菅野投手とはオールスターで一緒のチームになりましたが、何かアドバイスをもらいましたか?

「オールスターは特殊な緊張感がありましたけど、『ここは勉強の場だ』と思い、菅野さんにはキャッチボールの重要性や考え方、広島の大瀬良(大地)さんや、阪神の岩貞(祐太)さんからも、変化球の握り方などを教えてもらいました」

――東投手はシーズンを通して、5回未満で降板した試合が一度もありませんでした。序盤に失点しても必ず立て直していますが、その修正能力の高さについて自分ではどう思っていますか?

「クオリティ・スタート(6回以上を投げて自責点を3点以内に抑えること)を達成するために、投球に専念できているということだと思います。試合の序盤で心がけているのは、その日の相手打者の雰囲気を読み取ること。それでも、特に中日のビシエド選手にはまったく歯が立たなかったですね(苦笑)。どこに投げても打たれてしまうような気がしました」

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