2018.12.09

谷繁元信は炭谷銀仁朗の移籍に懐疑的。
「決断が2、3年遅かった」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

――移籍にあたり、ベイスターズの情報はどのくらいオープンにしたのでしょうか。前チームへのことも考えると、すべてを伝えることに躊躇することもあるのかと想像してしまうのですが。

「前チームへの”仁義”みたいなものは特にありませんでした。すでに中日はベイスターズの情報を揃えていましたから、そこに味付けをした程度です。自ら率先して、あれもこれもと伝えた記憶はないです」

――それでも、Aクラスの常連となった中日で正捕手として活躍し、2007年には日本一も経験しました。谷繁さんが考える「勝てる捕手」の条件は何ですか?

「『勝てる捕手』というより『勝たせられる捕手』という表現のほうがしっくりきますね。そういう捕手になるためには、あらゆる”流れ”を感じ取ることが重要です。試合中のことで言えば、リードされている展開でも『今日は逆転できるな』とわかる瞬間がある。それが感じ取れずに『1点もやれない』と厳しいコースばかりを要求してしまうと、かえって投手が苦しくなって大量失点を招くこともあります。

 試合以外のところでは、チーム編成などを含めた1年間の戦いの流れを掴むことによって、より勝利に近づくように、ある程度はチームを操作することができるようになります。自分で流れを変えられるようになるには、経験しかありません。私もそれができるようになったのは35歳くらいだったと思います。『もっと早くにできたはず』と後悔しているところですね」

――谷繁さんでもそれほど時間がかかったとなると難しいでしょうが……セ・リーグの捕手でそういった成長を感じる選手はいますか?

「広島の會澤(翼)は視野が広くなり、状況を読める選手に成長したと思います。同じ広島の石原(慶幸)とリード面で比較されることがありますが、石原と同じようなリードをする必要はない。自分のカラーが確立されてきたので、今後も活躍してくれると思います。

 阪神の梅野(隆太郎)は、チームは最下位ながらも132試合に出場し、盗塁阻止率も會澤を上回りましたからゴールデングラブ賞の受賞は順当でしょう。来季は、素晴らしい捕手だった矢野新監督からたくさんのことを学んで、さらに飛躍してほしいです」

――そのふたり以外で、来季に注目している捕手は?

「私と同じく高卒でプロに入った選手の活躍に期待しています。セ・リーグでは、どれくらい出場できるかはわかりませんが、広島の坂倉(将吾)と中村(奨成)。パ・リーグでは日本ハムの清水(優心)、オリックスの若月(健矢)は徐々に頭角を現しはじめましたし、ソフトバンクの九鬼(隆平)も今後が楽しみな選手です。高卒からプロでレギュラーを掴むことがどれだけ大変かがわかっているだけに、これからも彼らの成長に注目していきたいです」

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