オリックスの主砲・吉田正尚はフルスイングについての誤解を解きたい (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

──8月15日の西武のホームで行なわれた試合で打った、バットを折りながらのホームランには度肝を抜かれました。

「後にも先にも、2度と打てないホームランでした。打った瞬間に折れたバットが飛んでいって、『あれっ』とは思いましたけど、ヘッドの返りは悪くなかったし、ボールがうまく引っかかった感触があったんです。それでも『バットが折れたし、ホームランではないだろう』と全力疾走していたら、スタンドに入っていました(笑)」

──豪快なスイングは、誰かを参考にしたのですか?

「いえ、子供の時もプロ野球選手のスイングをマネするといったことはなかったですね。球場に2度観戦に行ったこともあるんですが。お弁当を食べながら『ホームランの打球はすごいなぁ』と思ったくらいです(笑)。僕は野球をプレーするのが好きな少年でした」

──野球を始めたのは何歳ですか? 

「3つ上の兄が地元の少年野球チームに所属していたのと、両親から勧められたことがきっかけで6歳から始めました」

──それでは、今のスイングはお父様から教わったのでしょうか。

「父からは、『強く振れ』それ以外は、何も言われたことはありませんでした。バッティングセンターに連れていってくれたりして、ずっと、僕の練習に付き合ってくれました。それでもスイングは自己流で作り上げていきました」

──中学卒業後は敦賀気比高校(福井)に進み、1年生から四番を任されるなど甲子園に2度出場。青山学院大学でも4年間チームの主軸を担いましたが、プロに入って違いを感じることはありましたか?

「まず、試合数が圧倒的に違いますよね。大学のリーグ戦は年間30試合程度ですから。また、プロは投手が分業体制なので、ワンポイントリリーフの投手などにも対応する必要がありました。ストライクゾーンについては、大学でちょっと狭くなり、プロに入って『また少し狭くなったなぁ』ぐらいにしか思わなかったので、苦労した経験はないです」

──同じパ・リーグの左バッターで意識する選手は?

「同じ外野手として競い合っていきたいのは、ソフトバンクの柳田(悠岐)選手、西武の秋山(翔吾)選手、そして同学年の日本ハムの近ちゃん(近藤健介)ですかね。自分もその高いレベルの選手に仲間入りして、切磋琢磨していきたいと思っています」

──セ・リーグでインパクトがあった選手はいますか?

「やはり、巨人の岡本(和真)選手でしょう! 1軍でのプレーは実質1年目なのに、3割30本100打点の成績を残せたことはまぐれじゃない。相当な努力を積み重ねてきたことを感じます。もうひとり、DeNAの(ネフタリ・)ソト選手も印象に残っています。オープン戦でバッティングを見たときには、『ボールに力を伝えることがうまいバッターだな』と思っていました。シーズンが終わってみたらホームラン王ですからね。恐れ入りました」

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