侍ジャパンの打撃投手もビックリ。
柳田悠岐や岡本和真らの本当のスゴさ

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

──他に目に留まった選手はいますか?

「西武の外崎(修汰)と楽天の田中(和基)ですね。打撃センスの高さを感じました。これまで紹介した打者たちは、映像を通してでも迫力が伝わりやすいと思いますが、この2人は振りが速くバットを出す角度が抜群によかったですね。(スイッチヒッターの)田中の左打席はやや内角が弱いかなとも感じましたが、あくまでもレベルの高いところでの話なので心配ないです。

 ソフトバンクの上林(誠知)もそうですね。私が現役時代、広島カープに在籍していた時にファームの試合で彼を見たことがあります。当時は期待されながらもくすぶっていた印象でしたが、今回の日米野球で成長を見せつけられました」

──侍ジャパン打撃陣の全体的な印象は?

「一貫しているのは、"強く振る"ことに対する執着心です。今シーズンは打率2割そこそこに終わったソフトバンクの甲斐(拓也)も、フリーバッティングではスタンドにポンポン放り込んでいました。昔に比べると、軸足が"回っている"という表現が正しいかはわかりませんが、大きく変わったと思います。ヤクルトの山田(哲人)もそうですが、軸足をしっかり回すことが腰の回転に繋がり、より打球に力が伝えられているんでしょうね」

──今回の日米野球で印象に残った試合や場面はありますか?

「投手になりますが、第1戦の1アウト1・2塁の場面で、ロッテのサウスポーの成田(翔)が投げた場面です。先発した楽天の岸(孝之)が、球数制限で5回表の途中でマウンドを下りてからの登板で、いきなりスリーランホームランを浴びてしまいましたが、後続の2人を内野ゴロでピシャリと打ち取りました。ここで切り替えられた経験は、まだ20歳の彼にとって必ずプラスになるので、絶対に忘れないでほしいですね」

──今回の経験を総括してください。

「どうしてもドラゴンズを中心に考えてしまうのですが、伊東勤新ヘッドコーチが侍ジャパンの強化副本部長を務められているのは大きいですね。走攻守を含めたアイデアを引き出していただけるはずです。あとは、『ドラゴンズの野手がひとりでも選ばれていたらなぁ』と、つくづく思いました。

 やはり、選手が自ら見たものを他の選手に伝えたほうが説得力がありますからね。打撃投手の私から、何をどのように話したらよいのか考えていますが......。勉強したことを来シーズンに向けたキャンプでどう活用できるか、模索していきたいです」

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