山口鉄也が気になる山本由伸。飛躍の秘訣は「冷静さ」にあった (3ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

──共に新人王候補に挙がっている、チームメイトの田嶋大樹投手の印象は?

「あくまで僕の印象なのですが、田嶋さんは考えていることが読みにくいというか、不思議な感じがします(笑)。周囲が予想できない結果やプレーができる才能がある選手なんだろうなと思います。田嶋さんも、普段の様子からは想像できないほどの"エグい"球を投げます。球団がドラフト1位で獲得した理由がわかりました」

──山本投手は、その前年のドラフト4位で入団しました。そのことについて思うことはありますか?

「指名していただけてうれしかったです。欲を言えば、もっと上位で指名されたかったですね。ドラフトの指名順位がプロ野球選手としての最初の評価だと思うので」

──そこから1軍で活躍するまでに、お世話になったコーチや先輩、ヒントになったアドバイスなどはありますか?

「たくさんの方々にお世話になっていますが、トレーニング面と投手論のイロハを教えてもらったのは酒井(勉)育成コーチと小松(聖)2軍投手コーチです。僕がセットアッパーに転向したとき、小松さんからは『先発ピッチャーは、1週間かけて懸命に調整して登板を迎えるのが任務。お前は、その気持ちをつなぐ役目になるから、責任をもって投げろよ』と言われました。小松さんは本当に尊敬できてカッコいい大先輩です」

──ピッチングのモットーはありますか?

「緊張してしまうのは仕方ないことですが、そこで冷静さを失わないことです。ソワソワしてしまったらもちろんダメだし、だからといって『よし、行くぞ!』と強気になりすぎても、空回りして力が発揮できない。だから、普段から"冷静ファースト"で行動しています」

──目標にする投手はいますか?

「いないです。未熟で投手としての最終ゴールが見えていないので、目標を定めることができないという感じですね。でも、疑問に思ったことは、先輩方に積極的に質問するようにしています。例えば、投手の方に『アウトローにうまく投げられないときは、どんな感覚になるんですか』と聞いたり、野手の方にも『○○投手の苦手なところはどこですか』と聞いたり。その答えを頭の中のフォルダーに保存しておいて、実際にその状況に直面したときに参考にできるようにしています。フォルダー内の情報を増やして、さらに成長していきたいです」

──オリックスは西村徳文新監督のもとで新たなスタートを切りますが、来シーズンへの意気込みを聞かせてください。

「1軍で経験を積むうちに、『優勝したい』という気持ちが芽生えました。来シーズンは西村監督に信用され、よりチームの力になれる選手になりたいです」

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