山口鉄也が気になる山本由伸。飛躍の秘訣は「冷静さ」にあった

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

 巨人のみならず、球界を代表するセットアッパーとして活躍した山口鉄也が、今シーズンをもって現役を引退した。その約1カ月前、2軍で調整を行なっていた山口へのインタビューで「注目する投手は?」と尋ねたところ、今シーズンに飛躍を遂げたある男の名を挙げた。オリックス2年目の山本由伸である。

 高卒1年目の昨シーズンは、1軍で5試合に先発して1勝1敗。しかし今シーズンはセットアッパーとして主に8回を任され、54試合に登板して4勝2敗32ホールド1セーブ、防御率2.89という堂々の成績を残し、新人王候補に名前が挙がっている。

 150キロ台のストレートと落差のあるフォークで、パ・リーグの強打者たちを沈黙させた山本に、活躍の理由を自己分析してもらった。

高卒2年目で大きな飛躍を遂げた山本高卒2年目で大きな飛躍を遂げた山本──元巨人の山口鉄也さんは、山本投手を「高卒2年目であの球が投げられるのはすごい」と絶賛していました。

「すごくうれしいですね。子供の頃はよく巨人戦を見ていて、毎日のように登板してしっかり打者を抑える山口さんを『すごい投手だな』と思っていましたから」

──セットアッパーとして大活躍した今シーズンの自己評価は?

「知らず知らずのうちにいい成績になっていたという感じです。それでも技術面に関しては満足していません。さらに磨きをかけていこうと思います」

──シーズンは長かったですか?

「(4月23日に)1軍に昇格してからの2カ月間は長く感じましたね。勝手がわからないので、立ち振る舞いに戸惑いました。その後は徐々に慣れてきて、あっという間に毎日が過ぎていきましたが、7月のオールスター明けに自分から『ファームで調整したい』と申し出ました。異変があったわけではなく、『このままだとパンクする』という予感があったからです。

 首脳陣からも、『何かあって長く離脱されるより、10日間(1軍に再登録できるまでの最短期間)で戻ってくれるほうがありがたい』と、認めてもらいました。そこでリセットすることができたのは大きかったです。来シーズンは最後まで1軍で投げられるよう頑張ります」

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