野間峻祥の進化を担当スカウトも激賞。「カープのドラ1なんやから!」 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

「ちょうどその頃からですね、僕が野間を意識し始めたもの......。その頃は4位か、せいぜい3位ぐらいの選手かなと思っていたのが、見るたびにうまくなっていって、大学4年の春には2位でもいいんじゃないか......と。それが秋になったら、『いや、コイツ"ドラ1"やな』って。どんどん評価が上がっていったんです」

 2014年のドラフトで野間を1位で指名した広島。その野間を見続け、球団に強く推したのが東海地区担当スカウトの松本有史(ともふみ)である。

「最初の印象は、正直、飛び抜けた素質に任せてプレーしているだけの子かなと思いましたが、体が強くて、野球が大好きで、練習を休んだことがない。『みんなが上がったあとも、最後まで練習しているのが野間です』と監督さんから聞いていましたので、それならウチやな、と」

 以来、岐阜の大学リーグに野間を追跡する日々が続いた。

「かっこよかったですよ、最初から。走る姿、打球を追いかけていく姿......バッターボックスで構えている姿もね」

 中部学院大の原克隆監督は、手放しで選手を褒めたりする人じゃない。だが、野間の話になると別だ。

「打つのが好きでねぇ。全体練習が終わっても、いつも最後までバッティングをしているんですよ」

 原監督が「リーグ戦は8割打て!」と命じたほどのバッティングセンスだったが、プロに進んでからは、強烈なカルチャーショックを受けたという。

「大学の頃は、とくに何も考えなくても、野球になっていたんですけど......」

 見た感じ、威勢のよさそうなお兄さんだが、穏やかでゆったりとした語り口は学生時代と変わっていない。

「普通にバットを振ればヒットになったし、塁に出ればスタートを切るのが当たり前みたいになっていて......スタートを切ればセーフっていうのが普通でしたから。だから、プロに入ってビックリしました。何もできない。すべてにおいて、僕よりも上の人ばかりですから......

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