広島バッテリーに見る意思統一。絶妙配球で柳田悠岐を混乱に陥れる (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 ただ、2戦目の第1打席で広島バッテリーはインコースではなく、アウトコース中心の配球で柳田をレフトフライに打ち取りました。おそらくこの打席の攻めで柳田は「今日はアウトコースで攻めてくるのかな」と思ったのではないでしょうか。そういう心境で迎えた第2打席で再びインコース攻め。柳田のなかに迷いが生じたのは間違いないと思います。

 ここまでまだ2戦ですが、組織として戦う広島に対して、ソフトバンクは個の力で戦っている印象があります。柳田の攻めもそうですが、広島にはチームとして「こう戦うんだ」という強い意志を感じます。

 それは打線も同じで、ひとりひとりがやるべきことを徹底する。だからこそ、少ないチャンスをものにできたのだと思います。

 ソフトバンクはクライマックス・シリーズで西武に打ち勝ってきたという自信もあったと思います。広島相手でも、ある程度は得点できると思っていたのでしょう。もちろん、自信を持つことは大事ですし、普段どおりの戦いをすることは間違っていません。

 とはいえ、短期決戦において"待つ"という選択肢はありません。打てるようになるまで待つ、調子が戻ってくるまで待つというのはナンセンス。柳田が打てないなら、それ以外で得点する方法を考えなければいけない。今後、そこ注目しています。

 3戦目からは場所をソフトバンクの本拠地・ヤフオクドームに移して行なわれます。DH制となり、ソフトバンクにとってはいつもどおりの野球ができる。 12球団で唯一200本塁打を放ったソフトバンク打線がこのまま黙っているはずはありません。おそらく、ここからは打撃戦になる可能性が高いと思います。

 広島にとって、2戦目まではある意味、完璧な試合をしてきました。ここからは選手の力だけでなく、ベンチワークの戦いになります。2年前、広島は日本ハムとの日本シリーズで、本拠地で連勝しながらビジターで3連敗を喫し、完全に勢いを失ってしまった。その時の教訓をどう生かすのか見ものです。

 いずれにしても、敵地で3連敗を喫しても広島に戻ってこられる。いい意味で余裕を持って戦ってほしいと思います。そうすれば34年ぶりの日本一も見えてくるはずです。

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