広島バッテリーに見る意思統一。絶妙配球で柳田悠岐を混乱に陥れる

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 32年ぶり3度目の引き分けスタートとなった広島東洋カープと福岡ソフトバンクホークスの日本シリーズ。2戦目は広島の先発、クリス・ジョンソンの好投もあり、広島が5-1で勝利。対戦成績は広島の1勝1分となった。2戦を終えて、シリーズの流れは見えてきたのか。解説者の西山秀二に分析してもらった。

2戦目勝利の立役者となった鈴木誠也(写真左)とクリス・ジョンソン2戦目勝利の立役者となった鈴木誠也(写真左)とクリス・ジョンソン 短期決戦を戦う上で重要なポイントになるのが、「相手の中心選手にいかに仕事をさせないか」というところにあります。そういう意味で、"4番の出来"がそのまま結果に反映されたと思います。

 広島の4番鈴木誠也は、2試合で9打数5安打(3打点)ときっちり4番の仕事を果たしましたが、一方の柳田悠岐は6打数1安打。とくにランナーを置いた場面で3三振と大ブレーキ。柳田自身の状態もよくないのかもしれませんが、広島バッテリーの攻めのうまさが光りました。

 なかでも印象に残ったのは、2戦目の4回の柳田の打席のところです。3点を追うソフトバンクはこの回、先頭の1番・川島慶三が四球を選び出塁すると、つづく今宮健太がセンター前に弾き返し、無死一、三塁と絶好のチャンスをつくりました。

 ここで3番・グラシアルはショートライナーに倒れ一死一、三塁で柳田に打席が回ってきます。理想は併殺打ですが、足の速い柳田から奪うのは難しい。だからといって、簡単に1点はあげたくない。広島バッテリーとしては三振、もしくは内野フライに打ち取りたい場面でした。

 結論から言うと、柳田を三振に仕留めたのですが、ジョンソン-石原慶幸バッテリーの攻めは見事でした。

 1球目はインコースのツーシームでストライク。2球目もインコースのツーシームを投げ込み、これを柳田が空振り。3球目は高めに1球外し、4球目は再びインコースのツーシームで空振り三振。

 強打者に対してインコースを攻めるというのは鉄則です。実際、1戦目(捕手は會澤翼)は柳田に対して、徹底してインコースを攻めました。1戦目が終わった時点で、柳田は「インコースを攻められている」という意識が働いたと思います。

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