王者・西武に死角はあるか。斉藤和巳が語るCS「下剋上への秘策」 (2ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ファーストステージの2戦目までは、リーグ防御率上位で2ケタ勝利を挙げている上沢直之とマルチネスを先発させるでしょうが、ふたりとも3点台と抜群の安定感を誇っているわけではない。

 ただ上沢は、ソフトバンク戦は4勝2敗、防御率2.20と相性がいいですし、マルチネスも1勝2敗と負け越していますが、防御率は1.86と安定している。チームとしては、できれば連勝でファイナルステージに進みたいと考えているはずです。

 というのも、日本ハムの先発は3枚目以降が薄い印象があります。シーズンの流れでいくと、3戦目は有原航平か加藤貴之が投げると思われますが、有原は9月15日から投げていないこともあり不安がある。そうなると、ファーストステージはロングリリーフを視野に入れているかもしれない。

 そのあたりの戦略を、栗山(英樹)監督は考えているはず。先発ができるだけ長いイニングを投げ、抑えの石川直也までつなぐことができれば、勝機は見えてくるでしょう。

 ソフトバンク打線はシーズン200本塁打以上を記録していますが、得点は優勝した西武と100点以上も離されているということは、一発に頼って勝ってきた試合が多いということ。事実、規定打席に到達した選手で、得点圏打率が3割以上のバッターは柳田悠岐しかいません。

 8月に9連勝をした時期はしっかりとタイムリーも出ていた。打線がつながらなければ相手投手陣に抑え込まれる恐れは十分に考えられますし、大味な攻めが続けば作戦を読まれてしまう危険性もあるわけです。

 打線のつながりを考えるのであれば、普段は中軸を任されているデスパイネを7番あたりに据えると面白い。いくら29本塁打を記録しているとはいえ、打率.238はさすがに低すぎる。打線の流れと一発の怖さを相手に印象づけるのであれば、デスパイネは下位で伸び伸び打たせたほうが、短期決戦では力を発揮してくれるかもしれません。

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