なぜライオンズの本拠地メットライフドームは本塁打が出やすいのか? (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 近年、セイバーメトリクスやトラックマンなどで野球のデータ活用が進む一方、選手たちがもっとも大切にするのは感覚だ。たとえば菊池雄星(西武)は、「選手のパフォーマンス(が構成されるの)は90%が感覚で、残りの5%が環境、残りの5%がデータだと僕は思っています」と言う。

 打者にとっても同じで、そのひとつに「打感」というものがある。この独特な表現を山川が口にしたとき、以前、栗山巧(西武)に聞いた話を思い出した。

「不思議と東京ドームや北九州(市民球場)でホームランが出ないことがあるじゃないですか。『行った』と思っても、(フェンス際で打球が)落ちていくでしょ? 結局、目と身体で『(フェンスまで)だいたいあの距離』と測っちゃっているから、たぶん。『(狭い)北九州だから入った』ということではなく、同じようにいい当たりをすれば広いヤフー(現ヤフオクドーム)でもたぶん入っている(※ホームランテラス設置前の話)。絶対そうだと思う」

 筆者を含む外部の観戦者は、「両翼92メートル、中堅119メートルの北九州市民球場や、左・右中間の膨らみの少ない東京ドームは、狭いから本塁打になった」と考えがちだ。桑田真澄氏が実況中に口にして話題になった「ドームラン」という表現もある。

 だが、打者にとっては、球場が狭いから本塁打になりやすく、広いから打ちづらいわけではないと栗山は言う。球場の大小に関わらず、いいスイングでボールを捉えれば、最高の結果として本塁打になる。逆に打ち損ねたら、たとえ狭くてもスタンドまで運ぶことは難しい。

 そんな栗山の話を山川に振ると、大きくうなずいた。

「僕の場合、東京ドームがたぶんそうです。東京ドームが狭いから(スタンドまで)飛ぶとか、空調だとか、看板直撃とか言われやすい場所ですけど、僕は『東京ドームは飛ばない』と思っています。だから飛ばしている人たちを見ると、すごいなと思います。

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