「青木宣親は別人になっていた」小川監督が明かすヤクルト再建の全貌 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― 開幕当初は青木選手を3番、もしくは4番に置く試合が多くありました。

「メジャーリーガーだった青木に、どうしてもポイントゲッター的な役割を期待して、そういう打順にしたのは事実です。山田(哲人)を1番にして青木を3番にするのか。それとも逆にするのか。その考えでスタートしたんですけど、打線をどうやって"線"としてつなげていくかになった時に、2番を誰にするのかが難しくなって。そこで青木の2番を考えたのですが、彼のプライドもあるし、周りも気を遣うかなと......。それで青木に相談すると、『自分は2番が適任だと思う』と言ってくれたんです」

―― あらためて、メジャーから日本球界に復帰した青木選手について、どんな感想を持たれていますか。

「青木なくしてこの成績(2位)はなかったでしょうね。僕は2011年まで一緒にやっていましたが、青木は別人になって戻ってきましたよね。キャンプでも選手たちとの距離感を最初のあいさつで一気に縮めてくれましたし、本当にチームを引っ張ってくれている。バッティングは誰もが認めるところですが、それ以外の部分での影響が大きかったと、あらためて思っています」

―― チームですが、4・5月は大型連敗が目立ち、5連敗が1回、6連敗は2回ありました。交流戦で最高勝率に輝いた後にも8連敗。前半戦を最下位で折り返しましたが、選手たちは常に前向きな表情だったのが印象的でした。

「とにかく負けていても、コーチたちや青木がベンチで声を出して選手たちを引っ張ってくれましたので。交流戦後には大型連敗を取り返すだけの力も出てきました。選手たちのなかで『自分たちは勝てるんだ』という意識が強く出てきたからだと思います」

―― 夏以降、3連敗以上はなく、苦手だったビジターも克服。シーズン終盤はクライマックスシリーズ(CS)を争うチームを圧倒しました。

「やはりビジターで勝つことによって、連敗は止まります。選手たちの意識も変わってきて当然ですよね。マツダスタジアムや東京ドームで連敗が続いているとか、ナゴヤドームで勝てないとか......。事実として残っているのですが、過剰意識になることもよくないので、そこを払拭できたのは大きかったですね。

 今シーズンは広島以外の球団に勝ち越すことができましたが、広島には接戦しながらも大きく負け越したという事実がある。そこは今後の課題として残りますが、逆に極端な数字が出たのは今後に向けていい材料になると思っています」

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