「ムチを入れる」は逆効果。シーズン終盤の順位争いに見る監督の資質 (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 どんな形でもいいから先制点を取り、展開を有利にさせること。相手に得点を許す前に、加点してむこうの勢いをくじくこと。そのためには間違っても凡ミス......ゲッツー崩れで走者を残したり、不用意な四球で出塁を許したりといったことは絶対にしないこと。選手もわかっている。だが大事な試合となればなるほど、その大事さを意識して普段にはしないようなミスを冒す。普通に戦うことは、それだけ難しいのだ。 

 とくに今季のセ・リーグのCS争いは熾烈を極めている。冒頭で「下位に取りこぼしはできない」と記したが、事実上、どのチームが下位なのかわからない。だから「目の前の1試合を大事に......」となっていくわけだが、ここからは監督の技量が問われる。

 ラストスパートを仕掛けてうまくいけば団子状態から抜け出すことになるが、ひとつ間違えれば失速もあるわけだ。この怖さ、重圧......ご理解いただけるだろうか。

 そんな心理のもとで、シーズン終盤、最後の順位争いをしているのである。そうしたことを頭に入れて試合を見てもらえば、また違った印象を抱かれるのではないだろうか。

(つづく)

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