絶妙な投球術が味方に好影響。ボルシンガーはゴロでゲームを支配する (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 一方で、相手チームの選手はボルシンガーのピッチングをどう見ているのか。西武の秋山翔吾はボルシンガーと12打席で8打数1安打4四球。7つのアウトはすべて内野ゴロとなっている。

 秋山は「やられてますよね」と言い、こう続ける。

「自分のなかで『とらえた』と思った打球が上がらないんです。ミートしたときの実際のボールの位置が違うのだろうなと。手元でちょっと動いている感じはします。もちろん、対応は毎回しているんですよ。それでも結果が出ないということは、自分の想像力をもっと高めないといけませんね。見えたものを振りにいっての今の結果なので......ボール1個分、詰まってもいいから『こう動くだろう』と予測して下の方を打ちにいくとか。バッターとしては一番怖いことなんですけど、そういうことが必要だと思っています」

 少し話は逸れるが、ボルシンガーのピッチングを見ていると、メジャーで活躍したグレッグ・マダックスに似ていると感じることがある。フィニッシュで体が一塁側に流れることなく、真っすぐ前を向いているところがそっくりである。

「(マダックスは)自分と同じくコントロール重視のタイプだったので、似たようなフォームになるのは必然かもしれません」

 マダックスはメジャー通算355勝を挙げた偉大な投手で、ボルシンガーがドジャースに在籍していた2014、15年にはチームのGM補佐という要職に就いていた。

「"精密機械"と言われていた方ですからね。バッティング投手をしていても『次はここに投げるから、打者はここへ打つよ』と。外野で打撃練習を見ていても、投手の投球動作と打者のスイングを見て、『こっちへ打球がいくよ』とか、ズバリ言い当てるんです」

 ボルシンガーも打者の観察と研究に長けたピッチャーで、やはり共通する部分があるのだろう。

 シーズンも終盤戦に突入し、クライマックスシリーズ争いを繰り広げているロッテにとって、ボルシンガーが登板する試合は確実に勝ち星を計算したいところである。

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