外崎修汰は美味しい男。「アップルパンチ」は好機に強く、右が強烈! (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 対して、外崎には右打ちが合っていた。その特徴を最初から見抜いていたのが山川だ。ともにまだ「期待の若手」の位置づけだった数年前、外崎に「右に打ったほうがいい」とアドバイスしている。

「トノは俗に言うアッパースイングで、さらに身体自体の動きが下から上にいくので、ボールをしっかり叩いてもこする感じになって打球が下にしかいかない。だから、ボールをもう1個分引きつけて右中間に打とうとしたら、ボールとバットがくっつく(コンタクト時間が長くなって力をしっかり伝えられる)ので飛んでいく。変な話、引きつけて打てる力があるんです。その間合いを自分で気づいたんじゃないですか」

 山川に右打ちを助言されたころは「そうなのかな」という程度の認識だったが、それから数年後、なんとかチームに貢献しようとする姿勢と、打撃での身体の使い方が結果として結びついた。そうして誕生したのが、「アップルパンチ」だ。

 今もレフトスタンドに放り込むことは珍しくない一方、右への意識を強くしたことでスイングの特徴が生きるようになり、打者として奥深さを増した。

「右方向に打てるようになってよかったのは......全部ですね。自然とボールを引きつけられるし、逆にボール球を見極められるようになったし。『右に打球が飛ぶ』って、みんなに結構よく言われます」

 今季ここまで全試合にフル出場し、打率.283(リーグ11位)、12本塁打(16位)、51打点(8位タイ)、22盗塁(4位)。そして見逃せないのが勝負強さで、得点圏打率は.377(3位)。

 ときには外野、ときにはサードで先発し、試合終盤にはセカンドの守備に回ることもある。そうした高いユーティリティ性は登録人数の限られる侍ジャパンでも評価されて、昨秋、今春とメンバー入りした一方、西武では首脳陣に起用の幅を広げている。

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