井上晴哉がメンタル整備で不動の4番に。好調を支える涌井との会話 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「僕も"走る"ということは意識しています。ただ、みなさんもわかってくださると思いますが、ほかの選手と比べて走ることは得意ではありません。そういう意味で、みんなが走って広げてくれたチャンスを生かすことが、僕のなかのテーマです。

 今のところ、そういう場面での一発が出るようになりました。でもそれは、みんながそれぞれの役割を果たしているからだと思っています。ランナーが走ってくれるから、ピッチャーの集中力が分散される部分もありますので」

 長いシーズンも折り返し地点を過ぎた。チーム本塁打数は45本塁打とリーグ最少。この先の戦いを考えると、"4番の一発"はより貴重なものとなってくるに違いない。鳥越ヘッドコーチは井上について、「これからは4番としての立ち居振る舞いが大事になってきます」と言った。

「余計な心配がなくなり、やっと『野球をしているな』という感じですね。4番としてチームを背負うなかで、しっかりと期待に応えようという姿勢が見えますし、打席でも簡単に終わらず、なんとかしようとしています。この先も、何があっても下を向かずにやってほしいですね」

 現時点で井上は、すべての数字においてキャリアハイを大幅に更新中だが、「数字は見ていません」と言う。

「出場試合数もすでに過去最高の倍ですし、僕にはすべてが未知の世界で......自分の基準がないんですから。これからも謙虚に、前の日の自分はどうだったかを振り返り、しっかりと準備したいですね。チームが勝つために、毎日、その場の仕事をまっとうする。それだけですね。いま考えているのは」

 しっかりした4番のいるチームは強い――今シーズンの井上を見ていると、あらためてそう思うのだった。

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