井上晴哉がメンタル整備で不動の4番に。
好調を支える涌井との会話

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 今シーズン、井上が放った18本のホームランのうち10本がセンターから逆方向で、風速10メートル以上の逆風が吹くこともあるZOZOマリンスタジアムで9本放っている。

「僕のバッティングの基本はセンターに打ち返すことで、いちばん力が伝わるのが右中間方向です。今年はそこを基本にして、広角に打球を散らせていると思います。この球場(ZOZOマリンスタジアム)は、完璧にとらえても絶対に入るとは限らないので気が抜けないのですが、ここまで打ったホームランの感触は過去最大の手応えと言っていいと思います」

―― 今シーズン、井上選手の打席を見ていると、どんなカウントでも最後までボールから目を離さず、強くスイングしているという印象があります。

「強く振るというより、『ボールに(バットを)強くぶつける』ですね。ボールを最後まで見るのは、強くぶつけるためのタイミングをはかるためです。今は、それが結果的に打席での粘りにつながっていると思います。調子がよくないときは、ぶつけてはいけないボールに手が出てしまいますし、何がしたいのかもわからないことになっちゃっていますね」

 井上は「今年は新しい発見が多く、それが成績にもつながっています」と話し、エースの涌井秀章との試合前の会話もそのひとつだと言う。

「あるとき、試合前に涌井さんから『今日は(相手先発投手の)何を狙ってんの?』と聞かれたんです。僕は『これを待とうと思っています』って言ったら、涌井さんは『いや、それじゃないだろう』みたいな感じで言われて(笑)。

 今は少しですが、涌井さんと意見が合うようになってきました。やっぱり、狙い球を絞ることは大事ですからね。涌井さんと意見が合うことで、迷いなく打席に立てる部分も大きいです」

 昨年は最下位に沈んだロッテだが、井口新監督のもと、スピードを武器にした野球でここまで3位と粘り強い戦いを見せている。ちなみに、盗塁数90は、94個の西武に次いでリーグ2位である。

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