井上晴哉がメンタル整備で不動の4番に。好調を支える涌井との会話 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「去年もホームランこそ出ませんでしたが、最初の方は楽しみながらできていたんです。自分のなかでは手応えがありました。でも一度、調子を落としてしまって、そこからいつものループというか......。『どうしようかな』『何しようかな』って、また自分で抱え込んでしまい、二軍に落ちてしまいました。

 そのなかで、今年はチームが大きく変わり、ある意味、自分自身もリセットできました。オープン戦でも目先の結果ではなく、自分のやりたいことを貫くことができた。それが実となり、今の成績につながっているのかなと思います。なにより、調子が落ちてきたときにも起用してもらえたことが大きかったですね」

 今シーズン、ここまでの井上の打順を見ると、実に興味深い。開幕戦は4番でスタートするも、5番、6番、7番と緩やかに下降。しかしその後、6番、5番と上昇していき、7月9日から再び4番を任されることとなった。

「試合に出続けられることで、気持ちに余裕が持てるようになったことが大きいですよね。メンタルが整っていれば技術は発揮できますし、たとえ失敗しても、それを成功につなげるために試合でいろいろ試せるようになってきました。

 井口(資仁)監督からも『ホームランは狙うな。二塁打を狙え』と、開幕当初から言われていたんですけど、それがよかったのかもしれないですね。去年までは『ホームラン打って当然だろ』という気持ちでしたから。井口監督も、僕のメンタルを知っているのかはわかりませんが、一緒にファーストもやっていましたし、僕に気持ちの余裕を持たせてくれているのかもしれません」

 好調のバッティングについては「これをやれば大丈夫というのがあって、まだまだ途中ですけど、今はそれができています」と井上は言う。

「金森(栄治)コーチにバッティングを教わることで新しい発見がありました。金森コーチがおっしゃる"ボディーターン"があって、要は体を一気に回転させる。そのためにヒジのたたみ方を覚えたことは大きいですね。結局、体が回りきらないとボールに力が伝わらないですから」

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