2018.07.17

西武・橋上コーチ就任1年目、
選手との信頼関係はズタズタだった

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

【連載】チームを変えるコーチの言葉~埼玉西武ライオンズ 作戦コーチ・橋上秀樹(1)

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 マシンガンにピストル、ミサイルにダイナマイト、果ては水爆まで──。プロ野球の強力打線には物騒な異名が付き物だが、現時点、12球団一の得点力を誇る2018年の西武打線には”山賊(さんぞく)”が定着しつつある。

 武器や兵器ではないが、山賊は山中を根城に人を襲う盗賊だけに物騒なことに変わりなく、これは西武の前身、太平洋クラブ時代の異名がリバイバルしたものだ。

かつてWBC日本代表の戦略コーチも務めたことがある橋上秀樹 1975年、選手兼任監督の江藤慎一が打撃主体の豪快な野球を標榜し、本塁打王の土井正博、首位打者の白仁天(はく・じんてん)を中心に1番から7番まで一発のある打者を並べた。結果、リーグトップのチーム打率.261、同2位の135本塁打を記録して”山賊”打線と呼ばれたのだった。

 もっとも、西武”山賊”打線は43年前と違って、ただ豪快なだけではない。現状で盗塁数がリーグトップで足も存分に生かされ、四球数もトップで、出塁率は断トツ。

 決して、各選手の打力に任せた打線ではないのだが、その打線を陰で支えてきたコーチがいる。就任して3年目となる作戦コーチの橋上秀樹だ。一指導者として、今年の打線の状態をどう見ているのだろう。

「指導に関して、特別に変えたところはありません。昨年、パ・リーグのなかでは攻撃陣の数字が図抜けてよかったですから。機動力も使えていますし、選球眼であったり、打席で粘ることであったり、打つ以外のことも意識づけできているので。

 ただ、他の5球団はうちの打線が脅威なわけで、当然、研究してきてます。その上で、たとえば、ある選手の弱点を見つけられた、ということがデータ上で現れて、なおかつその選手に迷いが生じたときにはアドバイスすることはあります」

 そう語る橋上はヤクルトでの現役時代、”ID野球”を掲げた監督・野村克也の薫陶を受け、引退後は楽天、巨人などでコーチを歴任。指導に当たっては常にデータを活用してきた理論派だ。

 2015年オフに西武から請われた際には、「大味な打線の体質改善」を求められたという。