パの猛者もタジタジ。無双のオリックス19歳セットアッパーは何者だ? (4ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Kyodo News

 セットアッパーというポジションは、あくまでローテーションピッチャーに成長するまでの勉強の場だと、山本は考えている。

「もちろん、今は中継ぎですのでこの仕事を全力でやり切りたいと思っています。中継ぎをやるにしても、球数は多いより少ない方がいい。そこは中継ぎ、先発関係なく、勉強していきたい。先発を目指すなら、球数が少ない方が楽なんで。なんだろう......最強のピッチャーになりたいんです」

 山本はまだ19歳だが、インタビュー中、しばしば言葉を飲み込む。

「なんだろう......」

 質問をいったん飲み込み、自分なりに咀嚼(そしゃく)した上で、自分の言葉で語ろうとする。試合前の決して長い時間を取れないインタビューだったが、その限られた時間のなかでの矢継ぎ早の質問にも、ひとつひとつ丁寧に答える。常に考えるという習慣が身についている証だろう。現在の好調ぶりも、決して勢いだけでないことがインタビューからもうかがえた。

 そんな山本のピッチングに、侍ジャパンの稲葉篤紀監督も注目しているという。東京五輪が開催される2020年、山本は22歳になる。このまま順調に階段を駆け上がっていけば、代表入りも見えてくる。

「出たいですね」

 オリンピックの話になると、山本の目が輝く。この秋にはU-23ワールドカップが行なわれる。この大会には各国のオリンピック代表候補となる若手のホープが集うが、現時点でこの大会は山本の眼中にない。なぜなら、この大会が行なわれるのは10月下旬。つまり、ポストシーズンの真っ最中だからだ。そこのマウンドに上がることが、山本の目標である。

 まだ山本のピッチングをじっくり見たことのない野球ファンもいるだろう。まずは7月13、14日に開催されるオールスターで、19歳の若武者のピッチングを目に焼き付けてほしい。

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