菊池雄星が好例。現代野球は「データリテラシー」が重要になる (5ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 球種の掛け合わせと同様、データは感覚と適切にマッチさせることで効果覿面(てきめん)になる。球界でもっともデータ活用が進んでいる某球団の関係者は、「トラックマンは所詮プロセス。ITを入れれば勝てるわけではなく、コミュニケーションの手段でしかない」と話していた。

 データはあくまで、過去の蓄積だ。過去の傾向を妄信的に信頼すると、現在の感覚との乖離(かいり)から落とし穴にハマる可能性がある。

 しかし、過去の蓄積である統計は、絶対的な事実の積み重ねといえる。過去の傾向から対策を導き出し、現在の感覚をうまく結びつければ、未来の答えの輪郭が見えてくる。

 データ×感覚――。両者の絶妙な掛け合わせにより、選手のパフォーマンスは大きく左右される時代になった。データで解析できる領域が増えているからこそ、「巧みな活用=コミュニケーション」を深めた者たちは、熟れた果実を手にすることができる。

 その好例が菊池雄星だ。球界トップクラスの能力を誇る左腕は貪欲に成長の手がかりを探し求め、合理的に努力しながら、グラウンドでのパフォーマンスをアップデートし続けている。

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