「お前ら負け犬か」石井コーチの檄からヤクルトが王者になっちゃった (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

■6月15~17日/日本ハム(札幌ドーム)/1勝2敗

 初戦、2戦目を落として迎えた3戦目。ヤクルトは2点リードの8回に青木の二塁打でダメ押しとなる2点を挙げ、交流戦の最高勝率を決定づけた。青木は交流戦で打率.310、14打点と活躍。得点圏では14打数7安打と勝負強いバッティングでチームの快進撃を支えた。石井コーチが言う。

「青木や川端慎吾といったベテランの働きが大きかったですよね。青木は先頭に立って声を出すなど、チームを引っ張ってくれた。ケガで戦列を離れてしまった大引も、守備面ではピッチャーに声をかけるタイミングがわかっている選手ですし、バッティングでもいぶし銀の活躍をしてくれました」

 その交流戦の最高勝率を決めた瞬間、マウンドに立っていたのがクローザーの石山だった。石山は交流戦で10試合に登板し、1勝7セーブ。防御率は驚異の0.00を記録した。また、7、8回を任された中尾輝と近藤一樹も圧巻のピッチングを見せた。石山は好調の理由について、こう語る。

「常に最高の準備をして、最高のかたちで入らないと、9回までつないでくれた人たちに申し訳ない。調子はいい方でしたし、たとえ悪いと感じても、そこは割り切って投げることができました。フォークにしても、ここはストライクを取る、ここはボールでもいいといったように、冷静に投げ分けることができた。それに近藤さんや中尾の存在も刺激になったと思います」

 石井コーチは交流戦を次のように総括した。

「選手たちはこの戦いを自信にしていいと思いますし、『こういう戦いをすれば勝てるんだ』ということを感じられた。いい交流戦だったと思います選手には勢いだけでゲームに入るな、やるべきことをやったなかでゲームに入っていこうと言い続け、選手たちもその自覚を持って戦ってくれました。実は、交流戦のチーム打率とリーグ戦のチーム打率はほとんど変わらなかった。それでもしっかり得点できたことは、理想っていえば理想でしたよね。僕は打率よりも出塁率を求めていますので」

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