「お前ら負け犬か」石井コーチの檄からヤクルトが王者になっちゃった (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

■6月5、7、19日/ソフトバンク戦(神宮)/2勝1敗

 続く相手は、昨年日本一のソフトバンク。ここでもヤクルトの選手たちは臆することなく、堂々の戦いを見せた。初戦、山田哲人、青木宣親、バレンティンのホームランなどで12-6の圧勝。雨天中止を挟んで行なわれた2戦目は、1点ビハインドの9回裏にバレンティンが起死回生の同点本塁打を放ち、10回裏に雄平が押し出し四球を選びサヨナラ勝ち。チームは3年ぶりの7連勝を飾った。

 勝利の立役者となったバレンティンと雄平のふたりは、石井コーチがしつこいくらいにバッティングについて話し合う選手である。

「バレンティンにとってはストレスでしょうね。実際、いつも『ストレス』と言っています(笑)。打線として、ひとりひとりがどう機能するかを考えたときに、バレンティンとそのあとを打つ雄平は重要です。今回の交流戦に限らずですが、バレンティンは打線のなかのひとりとして、本当によくやってくれています。我慢して四球を選んでくれたり、次の打者につないでくれたり......。

 雄平も、この交流戦では要所でいい働きをしてくれました。彼の場合は浮き沈みが激しいので、マイナスイメージを持って試合に入らないよう乗せていく。叱れる選手ではありますが、彼の扱いは外国人選手と一緒です(笑)」

 石井コーチの言葉を聞くと、ティーバッティング中のふたりのやりとりを思い出す。

「オレは胃が痛てーよ」(石井コーチ)

「どうされたんですか?」(雄平)

「雄平ストレスだよ(笑)」(石井コーチ)

■6月8~10日/オリックス戦(神宮)/2勝1敗

 初戦に敗れて連勝は7で止まるも、2戦目は2番手で登板したカラシティーが5イニング無失点の好投。3戦目も先発の小川泰弘が7回1失点で快勝。オリックス戦の勝ち越しを決めた。

 この交流戦を振り返ると、ヤクルト投手陣の頑張りは目を見張るものがあった。ちなみに、リーグ戦の防御率4.91に対し、交流戦は3.62。特筆すべきは、交流戦中、6回までを3失点に抑えた試合が18試合中15回もあったことだ。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る