大家コーチがDeNAの若手を変える、カットボールと10分ブルペン (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

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 大家が現役の頃は、まだDeNA体制ではなかった。今年で7年目のDeNAは、かつての苦しい時代とは比べものにならないほど、球団としてもチームとしても成熟し、発展を遂げている。大家は言う。

「僕らの時代と比べてどうこうという話ではありませんが、今のファームは素晴らしい環境だと思いましたし、球団も含め、まだまだレベルアップできる可能性があると感じました。あと、若い選手を起用することに対しての恐怖心というものをチーム自体が持っていない。試合で使いながら若手をうまく成長させていく。時に選手たちはモチベーションのアップダウンがあるのですが、その波をなくすことが僕らの仕事だと思っています」

 昨年、奄美大島で行なわれた秋季キャンプからチームに合流した大家だが、特筆すべきは、今年4月に好投した2年目の京山将弥やリリーフとして新境地を開きつつある9年目の国吉佑樹にカットボールを伝授したことで、彼らのピッチングが一新され、成果を上げていることである。

 手元で動くカットボールは、大家がメジャーで戦うための武器としていたボールのひとつだ。

「カットボールに限らず、いろんな球種を教える際に重要なことは、それぞれ狙いが違うということです。同じ球種であっても、選手によって意図や肝の部分が異なるんです」

 選手によって、カウントを取るボール、決め球、あるいは他の球種を生かすため......といった具合に、1つの球種でも使い方は千差万別だという。

「あとは、彼らがどのように自分の形に変化させていくのかが重要になります。もちろん、球種の狙いや意図は説明しますが、大事なのは感性やその後の研究になってきます」

 2年目の飛躍を遂げた京山は「カットボールのおかげで投球の幅が広がった」と語った。その話を大家にすると、こんな答えが返ってきた。

「京山は非常にまとまりのあるピッチャーで、彼のよさを引き出すためにもカットボールが必要だとは思っていました。ただ、僕としては使っても使わなくてもよかった。いずれ使うというか、必要になる日が来たらそれでいいし......やはりそこは本人次第。

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