大家コーチがDeNAの若手を変える、カットボールと10分ブルペン

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

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 神奈川県横須賀市にある横浜DeNAベイスターズのファーム施設。練習中のブルペンを見ると若手ピッチャーがコーチのもとに集まり、ときに笑顔を交えつつ、真剣に指導者の言葉に耳を傾けている。

 その輪の中心にいるのは、今季から二軍投手コーチに就任した大家友和だ。

「僕は指導というよりも、選手の力を発揮させたいという気持ちの方が強いんです。持っている力をすべて出すためのサポートをしてあげて、足りないものや伸ばすべき部分は自分で判断してもらいたい。結局、最後は自分だと思うので、自ら判断できるところまで引っ張っていってあげたいですね」

 大家は自身のスタイルについてそう語るが、「最後は自分自身」という言葉に重さを感じてならない。まさに大家の現役時代は、自分自身との戦いだった。

今季からDeNAの二軍投手コーチに就任した大家友和(写真左)今季からDeNAの二軍投手コーチに就任した大家友和(写真左) 大家は京都成章高から1993年のドラフトでベイスターズに3位指名され入団。一軍で結果を残すことはできなかったが、憧れだったメジャーに挑戦するため1998年に自由契約となり、ボストン・レッドソックスとマイナー契約を交わす。

 以後、メジャー昇格、マイナー降格を繰り返し、故障に見舞われながらも10年間アメリカでプレー。メジャーでは通算202試合に登板し51勝をマークした。

 2010年にベイスターズに復帰して2年間を過ごすと、その後は日米独立リーグのマウンドにも上がり、41歳となった2016年のシーズンをもって現役引退。まさに波乱万丈の24年間にわたるプロ生活だった。

「僕は人と違った行動をしたからこそアメリカでプレーできたわけで、考えていることが違うというのは自覚しています。もちろん、自分が思っていることがすべて正しいとは思っていませんし、常識とは何かという話にもなりますが、そこは人の意見も柔軟に取り入れながらやっていきたいと思っています。とにかく選手から何を聞かれても答えられるように準備だけはしています」

 昨年、指導者としてオファーを受けた際、かつて世話になったベイスターズへの恩返し、そして新たなチャレンジとしてコーチ業に興味を示した大家だが、同時にDeNAがどのような取り組みをしているのか関心を持ったという。

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