元マイナー最多勝、村田透に聞く
「日本のバッターを打ち取る方法」

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そもそもアメリカでは、メジャーとマイナーでも使用球が違うし、投げる土地の気候によってボールの感触はまったく違うという。村田もアメリカに渡った当初は苦労したそうだが、やがて自分なりの結論を出した。

「そんなこと、いちいち気にしても仕方がない」

 環境の変化に四の五の言っていては、プレーする舞台にも立てない。与えられた環境の中で、どこまでパフォーマンスを発揮できるのか。アメリカのみならず、パナマやベネズエラでもプレー経験のある村田は、その術(すべ)を身につけた。

 これまで村田には何度も話を聞いたが、悪い結果に対しても言い訳は一切しない。その姿勢は、今も変わらない。

「昨年については、それはもう自分の実力不足です。日本に戻って、特に何かを変えたわけではありません。とにかく、これまでやってきたことを出すだけですから......」

 日本の打者についてはどうか。

「ボールへのアプローチの仕方が違います。日本は基本、ミート中心ですから」

 マイナー時代は追い込んでから変化球ではなく、ストレート勝負にいくこともあったという。「アメリカでは強い真っすぐをコーナーに決める力が問われる」と、かつて村田が言っていたことがあるが、日本ではしっかり変化球で打ち取ることも必要になってくる。

「日本の場合、追い込んでからというわけではなく、初球からでもしっかりミートという感じです。そのあたりのミート力はすごいです」

 それなりの適応期間は必要だったのだろう。村田のピッチングが日本野球に適応した結果が、昨年の交流戦での"日本初勝利"であり、その後も勝ち星には恵まれなかったものの、シーズン後半は内容のある投球を披露した。防御率2.77という数字が、そのことを証明している。

 年が明けて、村田はキャンプに参加した。よく日本のキャンプは「長すぎる」という声を耳にするが、これについても村田は「郷に入っては郷に従え」の姿勢を崩さない。

「それも気にならないです。そんなもんだと思っています。それに日本ハムの雰囲気は、どちらかというとアメリカのチームに近いと思います。キャンプもアリゾナでスタートですし......」

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