キャンプ初日、ロッテ選手を見た鳥越コーチは「球の扱い」から直した (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

 そんな鳥越が開幕前、マリンスタジアムで守備練習を指導したときのこと。それまで投手コーチに任せていた投内連係を、内野守備担当として初めて見ることになった。

「どんな感じで来るかなあ、と思いながら見ていたら、失敗が多すぎるんです。1回目だったんで、ちょっと甘めにはしたんですけど、それでもやっぱり『ダメですよ、もっとやりましょ』って言いました。『その失敗がゲームで出たら、もう1点、入りますよ。それで負けますよ』って。『練習で100回投げたら、ここに100回ストライク放れよ。それをやってないから試合で焦るんじゃないの? 逆に言ったら、試合で練習通りにやれば成功するんだったら、練習の質を上げればいいだけの話じゃないの?』と」

 その日の投内連が始まったとき、選手たちの「チャラけた声」が鳥越の耳に入ってきていた。しかし「100回ストライク」を求めて練習を続けるうち、連プレーに必要な声以外、まったく聞こえなくなっていた。

「変わるんですよね、選手は。だから、みんなわかっているんですよ。やらなきゃダメだということは......。だったらそういう雰囲気をみんなでつくっていかなきゃ。じゃないと勝てないですよ。100%できることを疎かにしたら負けます。

 僕はそういうものだと思うし、以前から選手に言ってきて、やっぱりそうだと思いましたもんね、去年。『やらなきゃダメ』という雰囲気をずっとつくってきたら、エラーしなくなりましたから」

 これは昨年のソフトバンクのチーム失策数のことだ。38失策は1991年の西武に並ぶシーズン最少失策数で(130試合)、チーム守備率.993はプロ野球新記録。同じプロならどのチームでもできる、当然、ロッテでもできると鳥越は考えている。

「みんな、わかっているんですけど、少しだけ疎かになる。やっぱり人間なんで、ラクしたいんですよ。でも、『ラクしたら負けるよ。オレはそう思うけれど、キミたちはどう思いますか?』って言ったら、納得感はあるはずなんですね。だったら、やりましょう。それしかないですよ」

つづく

(=敬称略)

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