キャンプ初日、ロッテ選手を見た鳥越コーチは「球の扱い」から直した (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

「チームの攻撃というのは、どうやって打つかじゃなくて、どうやって点を取るか、なんです。その考えでいくと、チームの守備というのは、どうやって守るかじゃなくて、どうやって点をやらないか、になります。

 どこの球団だって、そう考えてチームの守備をつくり上げていくわけですけど、その基本はキャッチボール。ピッチングも原点はキャッチボールですから、ピッチャーもキャッチボール。野手も基本的には捕って投げる、キャッチしてボールを投げるんですから、キャッチボールですよね」

 石垣島の春季キャンプからチームに合流した鳥越にとって、ロッテの選手の「球の扱い」を初めて目の当たりにしたのが、2月1日、メイン球場。午前9時からのウォーミングアップを終え、キャッチボールが始まったときになる。すなわち、キャッチボールを見ていて「球の扱いを疎かにしている」と感じられたのだ。

「そもそも、野球でいちばん難しいのは打つことであって、ヒットじゃない限りは、ちゃんと捕って、ちゃんと投げればアウトにできる。それが点をやらない守りであって、僕はそうやって勝っていくしかないと思っています。逆に、基本のキャッチボールを疎かにしたらゲームで負けますよ、ということです」

 練習の質をキャッチボールから上げていく――。鳥越がキャンプで選手に求めた質は、キャッチボールで100%、相手が構えたグラブに投げることだった。「ここで100%できなければゲームで負けるよ」という言葉を繰り返し伝えた。

「プロであれば、打つのは3割打ったらすごいんでしょうけど、守備は10割、100%できるはずなんで。だったら、そこを目標にするべきでしょうね。それだけだと思います、僕は」

 現役時代、鳥越自身が残した記録を想起させるような目標だ。1997年、中日に入団して4年目で初めて100の大台を超える124試合に出場した鳥越は、109試合で遊撃を守って失策はわずかに1。同ポジションで守備率.997という日本記録を樹立している。「10割できる」という言葉も決して大げさに聞こえない。

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