チームワークを熱く語るバレンティン。ヤクルト選手の様子が全然違う (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 中村は「目指すのは、絶対的レギュラーになることです」と前を向いた。新キャプテンは、チームが"スモールベースボール"を掲げるなか、"2番打者"としての起用が有力となっている。

「監督から『お前がチームのカギを握っているんだぞ』と期待してもらえて......ありがたいことですよね。僕は不動のレギュラーとして、誰も文句を言えない成績を残してきたとは言えませんからね。2015年こそ優勝しましたが、昨年は96敗と散々な思いをして、レギュラー剥奪もありました。

 キャッチャーとしては投手陣と一緒になってブルペンから高い意識を持って取り組み、2番を任されるのであれば、何をされたら相手は嫌なのか、この状況で何をすれば最適なのかなど、最低限の仕事は確実にしたい。キャプテンとしてやっていくなかで、もっともっと一人前になる必要があると思っています」

 ウラディミール・バレンティンは、フリー打撃でインパクトの瞬間に「ヨッシャーッ!」という叫び声とともにフェンス越えを連発。2月24日の阪神とのオープン戦では2打席連続本塁打を放つなど、"主砲"への期待は高まるばかりだ。

「今年のキャンプは厳しいと聞いていたので、しっかり準備してきました。この厳しいスケジュールのなか、妥協せずに全メニューをこなすことができたのは状態がいいからです。去年はレギュラー陣に故障が重なり、残念なシーズンになってしまいましたが、今年はみんなケガを治して戻ってきました。彼らと同じユニフォームを着て、一緒に練習するだけで気持ちも引き締まりますし、これから1年、ケガなく戦うことが大きなテーマだと思います」

 バレンティンは"モチベーター"としても、キャンプを盛り上げた。ライト前ヒットを想定したベースランニングではこんな光景があった。

「ライトマエ」と、一塁から二塁へ走り出したバレンティンは、塁間で"マリオ"のようなジャンプを見せて笑いを誘い、二塁に到達すれば太ももを押さえて「イタタタ......」と苦悶の表情を浮かべ、周りの選手やコーチが「おいおい」とざわつくと、「ナンテネ」とおどけてみせた。その姿に球場はドッと沸いた。

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