今永昇太は「あの魔球」の投げ方について、石川柊太に教えを請うた (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「ビックリしました。突然、今永投手から連絡があって、参加したいと......なかなか勝てないとか、ケガに苦しんでいるという選手ならわかりますよ。でも彼は去年、あれだけ活躍したピッチャーでしょう。正直、最初は、僕に何ができるんだろうと思いました」

 ルーキーイヤーに8勝をマーク、プロ2年目の昨シーズンにはチーム最多の11勝を挙げた今永。カープとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージではリリーフとして、またベイスターズとして19年ぶりに出場した日本シリーズでは先発として切り札の役割を担い、その期待に見事、応えてみせた。

 昨秋には第1回アジアプロ野球チャンピオンシップの日本代表に選出され、台湾代表との試合で先発。今永はキレのいいストレートを武器に、6回を投げて12奪三振、無失点という、相手を寄せつけないピッチングを披露した。

 そんな今永が、過去、吉見一起(ドラゴンズ、今年は不参加)、千賀滉大(ホークス)、松葉貴大(バファローズ)らが毎年、参加してきた鴻江さんの主宰するトレーニング合宿に、自ら参加を申し出た。それはなぜだったのだろう。今永はその理由をこう説明した。

「一番は、感覚に頼るだけじゃなく、自分のフォームをきちんと自分で説明できるようになりたかったんです。2年間、プロでやってきて、シーズン中は感覚が大事だと思ってやってきました。フォームよりも、リリースの瞬間だけが大事で、その感覚さえよければその過程にあるフォームはそんなに意識しなくてもいいと考えていたんです。調子が悪くなっても、リリースのことだけを考えるのがいいんだと思っていました。でも、それだと自分のどこがどうなっているから、今、こうなって、こういう球がいくんだっていう具体的なメカニズムを自分の言葉で説明できないことに気づいて......」

 今永は、ホークスの千賀や石川柊太(しゅうた)がこの時期、鴻江さんの指導を受けているという記事を読んで、駒大時代に一度、鴻江さんに指導を受けたことがあることを思い出した。そこで知人を通じて連絡先を入手し、自ら電話をして、今年のトレーニング合宿への参加を願い出たのだという。

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