山田哲人、8年目の雪辱。もう「感覚だけのバッティング」はしない (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 これまで山田と二人三脚で歩んできた杉村繁巡回打撃コーチは「新生・山田哲人に期待しています」と言い、こんな話をしてくれた。

「例年はキャンプの第3クールあたりから仕上げていくんだけど、今年は初日からしっかりバットが振れている。去年までは、真中(満)前監督とオレの体制で『質の濃いことをやろう』とやってきた。今年はそれにプラスして、石井コーチが時間、量とも使って限界に挑戦している。練習量は倍ぐらいになったんじゃないかな。

 山田は"ヤクルトの打撃理論"で育ち、2年連続トリプルスリーを達成した。そこに石井コーチという他球団を知る指導者の教えも加わり、打者としての引き出しも増えるはず。山田には今年にかける気持ちを爆発させてほしいね。こんな25歳の野球選手は、世界中にもそうはいないんですから」

 山田は2月19日のDeNAとの練習試合でホームランを放ち、試合後の会見ではこう力強く語った。

「しっくりこないところもありますけど、日に日にいい状態に近づいています。今の自分に合ったスイングができていると思います。上半身の部分がもっとしっくりすれば、完璧になる手応えはあります。今日のホームランは真っすぐを狙い、無心で打ち返すことができました。僕の基本であるバッティングができたので、あとはその確率を上げるための工夫をしていきたいです」

―― 先日の囲み取材では「今までは感覚で打っていましたが、今年は頭で考えながらやっています」とコメントしていました。

「僕も8年目となり、いろんな記憶が頭にありますからね。その経験をもとに探ったりしています。そういう部分で『ここはこうだったな』といった感じで、経験の積み重ねが頭を使うバッティングにつながっていると思います」

―― 理想は、感覚のバッティングと頭を使うバッティングの両方を使いこなすことですか。

「そうですね。基本は自分の感覚というか、打席では無心でありたいです。意識して『こうだな』と頭を使うのは、練習のときですね。試合でもある程度は考えますが、ざっくり程度です。打席であれこれと考えていたら、体が動かなくなってしまうので」

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