阪神ロサリオも当確。韓国経由の助っ人が優良なわけを名コーチが説く (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 2013年にシーズン60本塁打の日本記録を樹立したヤクルトのバレンティンも徹底したインコース攻めに苦しんだひとりだ。彼は、気分が乗っているときは冷静に内角球でも見極められるのだが、少しでも集中力を欠くと、途端にインコース攻めに苛立ち、バッティングを狂わてしまう。本人も理解しているはずなのだが、文化の違いなのか、それとも性格的なものなのか、今でも苛立った表情を浮かべているところをみると、まだ完全に治りきっていないのだろう(笑)。

 ちなみに韓国は、日本ほどインコースを厳しく突いてこないが、それでも配球傾向は似ている。言葉は悪いが、目慣らしという点でアメリカや中南米から直接日本に行くより、韓国を経由した方が順応するうえでメリットは大きいだろう。

 そして最後のポイントはスイングスピードだ。

 日本人打者のスイングスピードは、私の記憶する限り西武のおかわりくん(中村剛也)が160キロぐらいで突出していた。ほとんどの選手が140キロ台中盤だから、おかわりくんがいかにすごいかがわかるだろう。ちなみに、バレンティンは遊びのスイングでも150キロはゆうに超えていた。

 いずれにしても、スイングスピードが速ければ速いほど、手元までボールを引きつけることができる。そのため変化球もしっかり見極められるというわけだ。

 かつて横浜(現・横浜DeNA)、中日で活躍したタイロン・ウッズもおかわりくんに勝るとも劣らないスイングの速さを誇っていた。彼も韓国経由で日本に来た選手だが、そのスイングの速さを生かす下地は韓国で築き上げられていたといっても過言ではない。

 またスカウトにとっても、韓国でプレーする選手の情報は収集しやすく、獲得するべきかどうかを判断しやすい。アメリカや中南米の選手は、代理人から送られてくるビデオが参考資料になるケースがほとんどだ。

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