畠山は引退危機から救われた。
監督・コーチ・選手が語る「青木効果」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 青木宣親が7年ぶりにヤクルトのユニフォームに袖を通した。首脳陣やナインたちはメジャー帰りの背番号「23」に何を期待するのだろうか。ヤクルトがキャンプを張る沖縄・浦添を訪れた。

 まず小川淳司監督は「選手たちは非常に興味を持って青木に接してくるんだろうな、という予感がありました」と言い、こう続けた。

「青木が最初に選手たちにあいさつをしたとき、『年上ですけど、いじってください』と言ったんですよ。やっぱり青木は、ほかの選手たちにとってはちょっと構えてしまう存在だと思うんですよ。でもこの最初の入り方と、合流した日か次の日だったか、青木はみんなと違うユニフォームでグラウンドに来たんですよ。計算したのかわかりませんが、それでみんなにいじられて(笑)。そのあと、みんなとフレンドリーに接している光景を見ると、『あぁ、よかったな』と。青木は戦力としてだけでなく、それ以外の部分でも大きなプラスになっていると思います」

7年ぶりにヤクルトに復帰した青木宣親7年ぶりにヤクルトに復帰した青木宣親 杉村繁巡回打撃コーチは「青木を指導するのは11年ぶりになるけど、まず存在感がすごいよね」と言った。杉村コーチは、青木が最初に出会った打撃コーチのひとりだ。

「当時は毎試合のように構えを変えて、動きながら打つスタイルでした。今回、フリー打撃を見ましたが、下半身をうまく使い、無駄のないシンプルなフォームになっていた。メジャーの投手はモーションが速く、ボールは重い上に動く。試行錯誤を重ねて、今のフォームになったんでしょう。バットの芯で当てる技術は相変わらずすごい。さすがだなと思いましたね」

 杉村コーチは、今シーズンの青木にどれぐらいの数字を期待しているのだろうか。

「アメリカでは逆境のなかで6年間やり抜きましたが、今年は地に足をつけてプレーできる。打率3割は軽く超えるでしょう。日本の球場は狭いし、投手のボールはメジャーと比較すれば軽いし、スピードも落ちる。投球フォームもゆったりしているので間も取れるはず。だから飛距離も伸び、ホームランは間違いなく増えると思います。チームにとって何より大きいのは野球選手としての"見本"が帰ってきたこと、特に若手への影響は大きいと思います。直接アドバイスをもらえる距離にいるんだから」

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