DeNA捕手3人の快記録より「黒羽根のトレード」をコーチは喜んだ (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

「そうなんです。また来年誰かに声がかかるように......『嶺井がほしい』と言われたり、『髙城ほしい』と言われたり、『戸柱をくれ』って言われたり......全員が他球団でも通用するようなキャッチャー陣にしたいなと思っています。ただ現状、これ以上いなくなると全体の人数的には問題ありますけど、それは思っているんです」
 
 確かに、2017年のDeNAファームの捕手は西森将司のみ。育成選手で網谷圭将、亀井塔生がいて、ドラフト9位で山本祐大(BCリーグ・滋賀ユナイテッド)を指名したが、高校時代は強肩の外野手で捕手に転向したばかりの19歳。移籍はもちろん、ひとりでも故障したら危うい状況だ。

 だが、編成に関わる問題はともかく、指導者として目指すレベルがはっきりと伝わる光山の言葉は痛快でさえある。それは現役時代、近鉄、中日、巨人、ロッテ、横浜、そして韓国・ロッテと、移籍を繰り返した自身の経験に根差した言葉でもあろう。

 では、光山はいかにして3人の捕手のレベルを高めてきたのか。

 技術面では、毎試合前、3人とも同じ内容の練習をこなす。ナイターであれば午前11時過ぎからグラウンドに集まり、遠投で肩を作ることに始まって、盗塁阻止、ワンバウンドの練習を集中的に行ない、最後はフライを捕る。そこまでに1時間以上はかかるそうだが、1日も欠かさなかったという。

 ただ、それだけの練習を積んでも、守備面、リード面でうまくいかないときはある。たとえば、選手本人が責任を背負い込むような失敗を犯した場合はどう接するのか。

「自分が失敗した話をあえてするときもあります。たとえば、まだ開幕してすぐの時期でしたが、戸柱が1年目のとき、キャッチャーフライを落とした直後にホームランを打たれる、ということが2度ありました。そのときは『オレもキャッチャーフライ落として、そのバッターにホームラン打たれて1対0で負けたことがある』っていう話をしましたよ。選手に話をするときって、失敗談の方が多いかもしれないですね」

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