2018.02.06

松坂大輔、ドラゴンズでの復活に向けて
「痛みへの恐怖心」に勝てるか

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

 去年と今年の今ごろを比べてみたら、いったい何が違っているというのだろう。

 松坂大輔のことだ。

 もちろん、ユニフォームが違う。去年はホークス、今年はドラゴンズだ。そして去年はホークスで3年目だったが、今年はドラゴンズに初お目見えだ。チームメイトだけでなく、ファンやメディアにとっても新鮮さが違っているだろう。さらに言えば、伝えられている年俸の額が、去年は4億円、今年は1500万円と、まったく違っている。

第1クールで2度ブルペン入りするなど、順調な仕上がりを見せる松坂大輔 だからと言って、こんなに違っていいのかと不思議に思う。

 ナゴヤ球場で行なわれた入団テストは、民放テレビ局のワイドショーが生中継した。非公開だった室内練習場にマイクを向けて、ボールがミットを叩く音を全国に流したのだ。そして合格直後の記者会見も日本中に生中継された。背番号99、中日ドラゴンズの松坂大輔が誕生した瞬間だった。

 お祭り騒ぎはここから始まる。

 沖縄の北谷(ちゃたん)で行なわれている春季キャンプ。初日、ブルペンに入らなかったと言って大騒ぎしたかと思えば、2日目、ブルペンに入って32球を投げたと、でっかく取り上げられる。投げたら投げたで、まだキャッチャーを立たせたままのピッチングだったというのに、やれ蘇(よみがえ)っただの、飛ばし過ぎだの、いろんな声が飛び交った。

 3日目も、キャッチボールすらやらないノースローの1日だったというのに、バッティング練習で柵越えを2本、ガッツポーズにスタンドは拍手喝采だったと見出しがつき、練習後に即席のサイン会を開催すれば長蛇の列ができたと、これまたニュースになる。

 そして小雨混じりの日曜日となったキャンプ4日目、松坂のキャッチボールを近くで見られる三塁側のスタンドだけに黒山の人だかりができた。5日目のブルペン入りでは、ついにキャッチャーを座らせたと、またまたヒートアップする。

 北谷で売り出された松坂グッズはあっという間に完売、松坂が人気低迷のドラゴンズを救う、後輩たちへの波及効果も抜群、果ては将来の監督候補だと報じられるに至っては、騒ぎ過ぎにも程があるというものだ。