平凡な才能の選手がプロ野球に行くための秘訣。名コーチが教えます (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

 上の世界を目指す選手は、その秘訣を知っておかなければならない。これは独立リーグの選手たちだけの話ではない。プロに行きたいという選手たちはもちろん、プロでも二軍の選手が一軍を目指すときにも必要となる要素である。

 まず大事なことは、己の長所と欠点をしっかり自覚することだ。NPBから指名がなかったといっても、獲得候補としてプロスカウトが注目する選手というのはそれなりに秀でたものを持っている。足の速さや肩の強さ、さらには守備のうまさなどがそうだ。ところが、そうしたいい面よりも欠点の方が目立ってしまうと、他の選手との相対比較で落とされてしまう。

 たとえば、打撃は素晴らしいが、守備がプロの水準に達していないと判断されれば、それだけで指名は厳しくなる。守備は鍛えればうまくなるという人もいるが、それも限界がある。むしろ、守備はプロの水準だが、打撃に難ありという選手の方が指名を受ける可能性は高くなる。

 打撃こそ「センスがすべて」のように思われがちだが、それはひと握りのホームラン打者であって、多くの選手は練習によって磨かれたのだ。私がヤクルトのヘッドコーチ時代に指導した宮本慎也(現・ヤクルトヘッドコーチ)が好例だ。

 しかし高校、大学などの若い選手たちは打つことの方が大事に思っているようで、どうしても守備は二の次になりがちの傾向にある。もし、プロに行きたいと思うのなら、まずその発想から変えた方がいい。

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