正捕手が消えた。DeNA光山コーチが明かす「捕手3人体制」の真意 (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 光山が言う通り、2016年シーズンも毎試合、すべての投球に対して、というわけではなかった。ラミレス監督も「ベンチからサインを出すと同時に、捕手にはIQの面でも成長してほしいと思っている。シーズン当初は多めにサインを出して、後半戦に入ったくらいの段階で捕手にすべてを任せるという可能性はある」と、キャンプ中のインタビューで語っていた。今にして振り返ると、新人の戸柱を生かすための方針だったのか、とも思えてくる。

 ともあれ、長くベイスターズを見守ってきたファンにすれば、10年連続のBクラスから脱出して、初めてクライマックスシリーズ(CS)に進出した年に待望の正捕手も誕生――戸柱を見てそんな心境になったのではないか。

 しかし2017年シーズン、開幕スタメンマスクは戸柱だったが、新人左腕の濱口遥大が先発する際には高城が専任となり、7月以降は嶺井博希の出番が増えた。そうして最終的には、CS、日本シリーズも捕手3人体制で戦った。

 球界では捕手の併用も今に始まったことではなく、近年、12球団を見ても盤石の正捕手が確立しているチームは皆無に等しい。DeNAの場合も、正捕手1人よりも併用のほうがいい、となったのだろうか。それはまたバッテリーコーチの考えなのか。

「もともと監督には『キャッチャーは1人にしたい』という構想があったんです。でも、僕は1人でも2人でも3人でも、誰でもいいと思っています。つまり、その試合で誰が守ったら勝ちやすいのか、勝つ確率が高いのか、ということで選んでいきたいんです。結果、戸柱ひとりになるかもしれないし、毎日変わるかもしれない。それはありかなと思っています。ただ、1人が出続けると、その選手がケガしたときに一気に控えとの差が広がってしまう、というリスクもある。やはり、しっかり守れるキャッチャーが常に2人は必要ですね」

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